研究課題/領域番号 |
20K17896
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野島 剛 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60869717)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 水素 / VV-ECMO / 抗凝固療法 / 抗炎症作用 |
研究開始時の研究の概要 |
静脈静脈-体外式膜型人工肺療法(VV-ECMO)は重症呼吸不全に対する生命維持法であり、近年使用例は増加している。VV-ECMO中は抗凝固療法が必要であるが、敗血症など基礎疾患による炎症が凝固障害を惹起し、出血合併症を起こしやすくなり凝固機能の調整に難渋することが多い。本研究では、VV-ECMO中の炎症制御を介した凝固安定化に着目し、水素を併用した新規抗凝固療法の開発を目指す。人工肺の送気ガスに水素を加えることで、炎症を制御し、凝固障害を抑制、結果出血リスクを軽減させると考えている。本研究はVV-ECMO患者の予後を改善させる可能性がある。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、水素の抗炎症作用に着目したLPSラットを用いたVV-ECMO中の水素を用いた新規抗凝固療法の開発であった。今回の研究では、水素がECMO中の抗凝固作用を強化できるかを検討した。水素は、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-1βのmRNA発現を低下させたが、HO-1は水素群でも有意差を認めなかった。さらに、抗凝固作用に関するPAI-1のmRNA発現は、水素群でPAI-1発現は低下するも有意差は認めなかった。E-セレクチンやCCL2といったケモカインでも、有意差を認めなかった。本研究からは、水素は抗凝固作用を有する可能性はあるも有意差は明確にならなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
VV-ECMOでは、治療中の出血が問題となる。VV-ECMOでは回路内での血液凝固を防ぐために抗凝固薬を使用するが、さらに出血リスクが高くなってしまう。また、感染症では炎症により出血の危険性がさらに高くなるため、出血傾向を防ぐことが死亡率軽減につながると考えられた。そのため、VV-ECMO中に抗炎症作用を有する水素を用いることで抗凝固薬の減量が可能であるかを検討した。今回の検討では、水素を用いることによる抗炎症作用は有意差を持って確認できたが、抗凝固作用に関しては、その作用を有するものの、有意差を持って確認はできなかった。今後も研究を続けていく必要があると考えられる。
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