研究課題/領域番号 |
20K17959
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹内 和人 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (90710088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 脳室繊毛 / ダイニン / クライオ電子顕微鏡 / 繊毛 / 水頭症 / 脳室上衣細胞 / 電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
非閉塞性水頭症発症の一因として、脳室上衣の繊毛運動の機能不全による髄液還流障害が考えられている。Dpcd遺伝子異常により、脳室上衣繊毛内分子群の発現異常、構造変化が引き起こされる。Dpcdノックアウトマウスの運動繊毛ダイニンのトランスクリプトーム・プロテオーム解析を行い、非閉塞性水頭症に寄与する分子メカニズムの解明を目指す。また、Dpcdノックアウトマウスでは水頭症は経時的に増悪することも確認されている。繊毛運動障害による異常な髄液流が二次的に繊毛極性異常を引き起こすと考えられる。このメカニズムを、脳室間での違いや経時的な変化から解析し、非閉塞性水頭症の発生及び増悪の原因究明につなげる。
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研究成果の概要 |
Dpcd KOマウスを用いて異常な繊毛運動の解析を行った。その結果内腕ダイニンの異常時に見られる振幅に異常が認められた。次に内腕ダイニンサブユニットについて免疫染色およびRNA発現を解析し、おもにDnah6の発現が低下していることがわかった。さらに、電子顕微鏡による内部構造の解析では内腕ダイニンの一部が確認されており完全欠損ではないことが確認された。次に脳室繊毛の単離を試みた。ずり応力による脱繊毛がもっとも効率良く繊毛の回収が可能であり、濃度勾配を利用した繊毛水溶液の精製に成功した。この繊毛水溶液の濃度はクライオ電子顕微鏡による3D解析を可能とした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでDpcdKOによる繊毛運動異常は内腕ダイニンの欠損によるものと報告されていた。我々の研究の結果、内腕ダイニンは完全欠損しておらず一部の発現が低下していることが示唆された。さらに内部構造の把握を進めるため、脳室繊毛の単離に取り組んだ。これまでに脳室繊毛の単離に成功した報告はなく極めて新規性が高いものである。我々は内部構造把握にはクライオ電子顕微鏡による3D画像の取得が重要と考え、これに耐える濃度の繊毛水溶液作成に取り組んだ。その結果、十分な濃度の繊毛水溶液を作成し、クライオ電子顕微鏡観察に成功している。今後繊毛運動に由来する脳疾患の研究に役立つものと期待される。
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