研究課題
若手研究
神経膠腫において、欧米を中心に宿主遺伝子背景と疾患を関連付けるゲノムワイド関連解析が行われてきたが、本邦からの体系的な報告は未だ存在しない。本研究では、人類遺伝学的に比較的均質であるという本邦の特性を生かし、国内神経膠腫症例を対象に遺伝子多型解析を行う。さらに臨床・画像情報や腫瘍分子プロファイルとの横断的統合解析により、人種・地域特異的な神経膠腫リスクモデルの構築や病態解明、予防、創薬、個別化医療の実現を最終目標とする。
神経膠腫に先行して疾患頻度の高い髄膜腫401症例を対象として多施設共同研究によるGWASを行ったが、ゲノムワイド水準を満たすSNPを認めなかった。最も強い関連を示したSNPは15q25上のrs35127183であった(オッズ比:1.63、95%信頼区間:1.34-1.99、p = 7.0×10-7)。過去にヨーロッパ系人種で報告された2つのSNPは日本人におけるマイナーアレル頻度が低いため、有意な関連を認めなかった(p = 0.26および0.21)。神経膠腫においても、今後目標症例数に到達次第、SNPタイピングを行い、神経膠腫リスクモデルの構築を目指す。
日本人の髄膜腫患者を対象としたGWAS研究を実施した。ゲノムワイド有意水準を満たす関連は検出されず、日本人集団に特異的な髄膜腫のリスクSNPを同定することはできなかった。また欧米から報告されているリスクSNPは日本人においてアレル頻度が極めて低いため、関連性を評価することが困難であった。しかしながら、本研究は東アジア人集団で初めての髄膜腫患者のGWASであり、今後の髄膜腫患者のGWAS研究に寄与する可能性がある。
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Brain Tumor Pathol.
巻: 39(4) 号: 4 ページ: 218-224
10.1007/s10014-022-00438-1