研究課題
若手研究
神経膠腫において、欧米を中心に宿主遺伝子背景と疾患を関連付けるゲノムワイド関連解析が行われてきたが、本邦からの体系的な報告は未だ存在しない。本研究では、人類遺伝学的に比較的均質であるという本邦の特性を生かし、国内神経膠腫症例を対象に遺伝子多型解析を行う。さらに臨床・画像情報や腫瘍分子プロファイルとの横断的統合解析により、人種・地域特異的な神経膠腫リスクモデルの構築や病態解明、予防、創薬、個別化医療の実現を最終目標とする。
大阪大学大学院医学系研究科および医学部付属病院の臨床研究倫理審査の承認を得た上で、神経膠腫、髄膜腫の血液・腫瘍サンプル、画像データ、臨床データ(年齢、性別、生存期間、治療内容、治療反応性など)の収集、さらに取得した血液サンプルからのゲノムDNA抽出およびSNPタイピングを継続している。先行して血液サンプルが集積された髄膜腫403例のデータとリファレンスデータを用いて、全ゲノム上のバリアントに関するGWASを行ったが、現時点でゲノムワイド有意水準 (P = 5.0×10-8) を満たす関連は検出されず、日本人集団に特異的な髄膜腫のリスクSNPを同定することはできなかった。欧米から報告されている髄膜腫のリスクSNPは日本人においてアレル頻度が極めて低いため、関連性を評価することが困難であった。引き続き、神経膠腫を中心にサンプル数の上積みを行っている。
3: やや遅れている
遺伝子多型解析に必要な血液サンプルの集積は概ね順調に進んでいるものの、疾患頻度の観点から髄膜腫と比較して、神経膠腫のサンプル集積のペースがやや遅れている。疾患関連遺伝子の特定のため、神経膠腫のサンプル数のさらなる上積みが必要である。
日本人における脳腫瘍遺伝子多型データベースを構築することで、先行研究の検証や、 本邦独自の遺伝的特性に基づいた新たな知見を得ることを目標としている。また臨床・画像情報や腫瘍分子プロファイルとの横断的統合解析を行うことにより、人種・地域特異的な神経膠腫及び髄膜腫のリスクモデルの構築や病態解明、予防、創薬、個別化医療の実現を最終目標とする。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Brain Tumor Pathol.
巻: 39(4) 号: 4 ページ: 218-224
10.1007/s10014-022-00438-1