研究実績の概要 |
近年、幹細胞移植による脳梗塞治療が脚光を浴びており、臨床研究が進行中である。脳梗塞ラットに対する経動脈的な間葉系幹細胞投与研究において、高齢ドナーから抽出した骨髄間葉系幹細胞は若年ドナーと比較し治療効果が得にくいことを示したが、超高齢社会を迎える本邦では脳梗塞患者本人の高齢化も顕著である。そこで、腫瘍化や拒絶反応リスクの低い安全な自家移植を目指すにあたり、ドナー細胞の”若返り”を達成させるため、以下の研究を実施した。 <高齢者由来ヒト骨髄間葉系幹細胞の若返り> 高齢者(70歳)ヒト由来骨髄間葉系幹細胞と若年者(30歳)ヒト由来骨髄間葉系幹細胞をそれぞれ1個体ずつ準備し、通常培養の2群と、各々にNMN薬剤を添加した2群の計4群を比較対象とした。各検体の条件培地(Conditioned medium)を採取し、ELISA, Luminexを用いて液性因子(PDGF-BB, VEGF, BDNF, GDNF, MCP-1, IL-10など)を測定した。一方で免疫組織検査やSRT-PCRなどを用いて老化マーカーである酸化βガラクトシダーゼやp11などを測定した。NMN添加群はNMNを数種類の濃度で溶解し、最適の培養条件を確定しIn vivoの検討を行った。
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