研究課題/領域番号 |
20K17980
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山室 俊 日本大学, 医学部, 助教 (30790886)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膠芽腫 / 神経膠腫幹細胞 / 分化誘導 / 腫瘍免疫 / グリオーマ幹細胞 / IDO1 |
研究開始時の研究の概要 |
膠芽腫に対する新規治療法として、分化誘導療法の開発およびその効果の検討を行う。膠芽腫の悪性度に強く関与しているグリオーマ幹細胞に対し、IDO1阻害剤の投与により分化を促す。IDO1はグリオーマ幹細胞に強く発現しており、これをノックアウトするとインターフェロンベータの発現が上昇することを示す報告がなされた。インターフェロンベータには腫瘍細胞の分化を促進する効果があるため、IDO1を阻害することによりグリオーマ幹細胞の分化を誘導できると考えられる。本研究では、IDO1阻害による分化誘導療法の効果や機序を基礎研究により明らかにする。
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研究成果の概要 |
膠芽腫に対する新規治療法として、神経膠芽腫幹細胞を標的とした分化誘導療法の開発およびその効果の検討を行うべく、本研究を行なった。我々は、先行研究やこれまでの報告から、IDO1を阻害することにより、神経膠腫幹細胞を含む膠芽腫細胞の分化が促進されると考えた。IDO1阻害剤のindoximodを神経膠腫幹細胞の細胞株に投与したところ、形態学的変化として神経膠腫幹細胞株のsphereが小さくなり、一部接着細胞化した。また、神経膠腫幹細胞のマーカー分子のタンパク発現が減少した。動物実験では、indoximodで治療したマウス群は、無治療群よりも生存期間が延長した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膠芽腫は脳腫瘍の中で最も悪性度の高い腫瘍であり、現在の標準治療に加え様々な新規治療が研究開発されているにも関わらず、その予後はいまだに極めて不良である。膠芽腫の悪性度に神経膠腫幹細胞が強く関与していることが知られているが、その性質や治療抵抗性を示すメカニズムに関しては分かっていないことが多い。本研究により、IDO1を阻害することで、in vitroで神経膠腫幹細胞の分化が誘導されることが分かった。膠芽腫の分化が誘導されれば、それ自体の抗腫瘍効果のみならず、放射線治療や他の化学療法との相乗効果も期待されるため、本研究の成果は膠芽腫の新規治療法を考えるうえで重要な知見になると期待される。
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