研究課題/領域番号 |
20K17993
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山室 裕紀 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (30844328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 人工関節周囲感染 / 脂肪由来幹細胞 / 抗菌ペプチド / 脂肪由来間葉系幹細胞 / インプラント周囲感染 |
研究開始時の研究の概要 |
人工関節(インプラント)周囲感染は、インプラントを感染源とするバイオフィルム感染症であり、インプラントを温存し感染を鎮静化する有効な治療法は未確立である。脂肪由来幹細胞(ADSCs)が、1. 抗菌薬を含有・徐放すること、2. バイオフィルム産生菌のメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)に対する殺菌効果があること、3.バイオフィルム形成阻害効果を有する抗菌ペプチド(Cathelicidin)を分泌することを明らかにした。抗菌ペプチド分泌能、抗菌薬含有能を有するADSCsを用いたバイオフィルム感染症治療の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、脂肪由来幹細胞(ADSCs)を用いた人工関節周囲感染(PJI)に対する新たな治療法を検討した。そこで独自のシート化技術を併用し、「抗菌薬含有ADSCsシート」による治療の確立、さらに投与方法の違いによる抗菌効果を検討した。シート化に関しては技術的な問題から一定量の抗菌薬を含有させ、さらに安定した作成には継続した研究が必要であった。投与方法の違いを検討した結果、ADSCsと抗菌薬の静脈内投与はPJIモデルラットに対して、体重の早期回復、細菌数の減少、骨密度減少の抑制を示し、強い抗菌効果を認めた。この抗菌効果には、抗菌ペプチド(カテリシジン)の発現量増加に関連している可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、ADSCsが抗菌薬の抗菌効果を妨げず、増強させること、そのメカニズムとして感染局所のカテリシジン発現の増加が寄与している可能性を強調しており、PJIに対する新しい細胞ベースの治療戦略を提供できる可能性がある。さらに従来の抗菌薬治療では効果が不十分な人工関節周囲感染患者に、応用できる可能性を示唆するものであった。今後も引き続き、他菌種や抗菌薬含有脂肪由来幹細胞での研究を進めるとともに、安定化した抗菌薬含有ADSCsシート作成、さらにその応用に向けて研究を進めていく。
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