研究課題/領域番号 |
20K18049
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部) (2021-2022) 北海道大学 (2020) |
研究代表者 |
岩田 玲 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 骨軟部腫瘍科医長 (10374373)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 骨転移 / 遺伝子がんパネル / 医学 / 整形外科 / 転移性骨腫瘍 / 次世代シーケンサー / がん遺伝子パネル |
研究開始時の研究の概要 |
転移性脊椎腫瘍に対する脊椎固定術患者または生検を行う患者に対し、病理標本に提出する検体のうち、5㎜角大を採取する。脊椎転移巣については、脱灰操作が不要な溶骨性病変に限定して行う。転移巣と原発巣からの検体に対して、それぞれからDNAの抽出を行い、がんパネル検査を実施する。がん関連遺伝子の既知のバリアントの違い、一塩基多型(SNP)およびコピーナンバーバリアントの解析、検出されたバリアントのうち、アミノ酸配列変化を来すものを同定する。転移巣と原発巣における遺伝子の一致率や変異について明らかにするとともに、in vitroにおける抗がん剤治療効果の検証を行う。
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研究実績の概要 |
次世代シーケンサーを用いたがん遺伝子パネル検査により、臓器別治療から遺伝子異常に基づく抗がん剤の選択が可能になった。一方検体採取部位の規定はなく、抗がん剤の奏効は採取された検体に依存する可能性がある。原発巣は壊死部や正常組織の混在、腫瘍増悪に関与する遺伝子異常を包含していない場合が懸念される。骨転移巣は、腫瘍細胞以外の混入が少なく、増悪の要因となる遺伝子異常を包含している可能性が高いと期待され、これに基づく抗がん剤の選択が奏効率の向上に貢献することを期待する。本研究の目標は、骨転移病巣と原発巣の遺伝子変異を、がん遺伝子パネル検査を通じて検討することである。2022年4月1日から2023年2月28日まで候補となる腎細胞がんの検体をホルマリン固定を行い核酸抽出を行いDNA検出したのが3件、RNA抽出が1件だった。核酸品質と核酸濃度確認を2セットに行ったが、いずれも品質不良のため解析に至らなかった。そのため2022年12月に解析対象の変更を検討した。原発と転移の両方揃う症例について多いのは肺がんだったが、原発巣が肺の場合には組織量が少ないため候補とするのが難しかった。当科で扱う骨軟部肉腫に関して、肺転移例の切除検体と原発治療が比較できる検体が5例以上あった。しかし肉腫は遺伝子変異が無い融合遺伝子の異常による発症が多く、かつ融合遺伝子は原発巣と転移巣で変化が生じていない可能性が高い。また用意している遺伝子パネルは融合遺伝子の検出には対応していないパネルだった。 研究のコンセプトは原発、転移先での遺伝子の違いを確認し、転移先のほうが最新の遺伝子変化があり、転移先の遺伝子変異を調べることにより治療に反映できる可能性があることであった。 その結果を出すことに研究の狙いがあるため、骨軟部肉腫を対象とした解析は断念し、腎細胞がんを対象としてこの度研究機関を1年延長申請させていただくことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
原発巣と転移巣の両方の採取を5セット行うことが本研究の必要な条件であるが、2022年度にDNA3検体、RNA抽出1検体行った。しかしいずれも核酸品質と核酸濃度確認で不十分だった。また解析対象の腎細胞がんはキートルーダ―とチロシンキナーゼ阻害薬の併用を行う例が多くなり、可能な限り全摘を行う機会のある骨転移腫瘍ではなくなってしまったのが原因と考えられた。分子標的治療の進歩で転移性骨腫瘍の検体を得る機会が少なくなっているのが、問題が理由と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
原発と転移の両方扱う他の候補がんを模索したが、十分な組織量が原発側の組織から十分得られないこと、また取り扱った骨転移例の実績から候補を選択できなかった。骨軟部肉腫が原発と転移の検体が揃う新規候補になったが、融合遺伝子の異常が発がんに関わり、かつ転移巣の融合遺伝子は原発巣と異なる可能性はかなり低いと考えられた。遺伝子異常が発がんに関わる他の候補原発がんが特定できず、現時点でも年間3-5件転移巣を扱っているため、治療実績からも腎細胞がんが最適と考えられた。用意している遺伝子パネル検査で抽出できる内容も考慮し、腎細胞がんを原発がんとして本研究を継続することにした。
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