研究課題/領域番号 |
20K18062
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
喜多 晃司 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90828328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 転移 / 硬さ / 剛性 / 原子間力顕微鏡 / アクチン濃度 / 骨肉腫 / アクチン / 細胞剛性 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の柔軟性は、多段階にわたる癌の転移メカニズムの全てに関与していると考えられる。細胞の柔軟性を細胞の剛性と捉え、細胞の剛性の評価を本研究の要とした。そこで、細胞の剛性を高めることが可能であれば、転移を抑制しうるのではないかとの仮説をたて、細胞の合成を増強する薬剤の探索、およびその転移抑制評価を行うこととした。薬剤によるがん細胞の剛性の変化の評価は1)アクチン濃度の評価、2)原子間力顕微鏡での剛性評価、の2段階で行う。最後に、細胞剛性を増強させる薬剤をマウスに投与し、自然肺転移モデルでの肺転移抑制効果を評価し、転移抑制効果のある薬物の同定を行う。
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研究成果の概要 |
癌細胞の転移には癌細胞形態の変化が必要であり、柔軟性が高い細胞は転移を形成しやすいため、柔軟性の低下は転移の抑制に繋がると考えられる。細胞の柔軟性を細胞の剛性と捉え、マウス骨肉腫細胞の高肺転移株であるLM8を用いて、原子間力顕微鏡による細胞剛性を増幅させる薬物のスクリーニング、マウス肺転移モデルによる転移抑制効果の検討を行った。Na+遮断薬、K+遮断薬、Ca+遮断薬、Gap junction遮断薬の中で、Gap junction遮断薬であり消化性潰瘍治療薬であるカルベノキソロンは、細胞増殖を抑制せず、細胞の剛性を上昇することで肺転移を抑制した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在の癌に対する創薬は、癌細胞の増殖抑制が中心であり、転移抑制剤は未だ登場していない。癌細胞の転移には、細胞間隙や膠原線維間隙を通過する際に細胞形態の柔軟な変化が必要である。新たな基準として細胞の柔軟性に注目し、細胞を硬化させる薬剤を転移抑制剤として探索した。また、転移発生時期は不明であり、医療が転移へ介入できる時期は、初診から原発巣の完全切除までと予想される。抗癌剤のような高リスクではなく、低リスクで長期投与が可能であり、抗癌剤投与中も投与できるような薬剤が理想であると考えられ、一般薬から探索薬剤を選んだ。消化性潰瘍治療薬であるカルベノキソロンが理想的な転移抑制剤であるとの結果を得た。
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