研究課題/領域番号 |
20K18065
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山崎 尚也 広島大学, 病院(医), 助教 (60839207)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 関節エコー / 血友病性関節症 / スコアリング / 血友病A / 関節超音波画像検査 / スコアリングシステム |
研究開始時の研究の概要 |
先天性血友病A治療方針決定のために関節状態を評価する必要があるが、その評価法として普及している関節レントゲン検査は現状を評価することに特化しており、その状態が臨床症状にどう繋がるかが想定できない。もう1つの評価法である超音波画像検査は臨床症状を反映する可能性があるものの、関節レントゲン検査に比して再現性の乏しさや全体像・関節アライメントの把握に問題がある。本研究ではその問題を解決すべく、再現性の高い超音波画像検査所見を探索し、それを基に関節レントゲン検査で得られる所見や関節内出血回数等に相関する関節超音波画像検査スコアリングシステムを構築することとした。
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研究実績の概要 |
患者毎に生活活動強度や治療レジメンなど条件が異なる中では、X線検査を用いた血友病性関節症の重症度分類であるArnold分類やPettersson分類、超音波画像診断装置を用いた血友病性関節症の早期検出法であるHEAD-US法といった関節評価法では、関節内出血を予測することは容易ではなかった。しかし、本研究にて様々な重症度の血友病性足関節症におけるエコー所見を収集・分析したところ、「距骨ドームの構造」「距腿関節裂隙にある軟部組織の移動」「距腿関節周囲のPDS」「移動する組織内のPDS」といった所見を有すると足関節内出血が予見できる可能性を見出し、それらをスコアリング対象項目として足関節出血予測スコアリングシステムを構築した。その有用性を検証するために、上述の関節評価法とともに、それらのスコアまたは重症度がエコー実施前1年における足関節内出血の有無にどのように影響しているかを、出血群と非出血群の2群に分けて統計的有意性検定を実施し、p<0.01を有意差ありとすることで本院通院中の患者において実証を試みた。対象者は24人、対象関節総数は48関節であり、出血群は9人・11関節、非出血群は22人・37関節であった。出血群と非出血群を比較した際、Arnold分類(p=0.032)、Pettersson分類(p=0.033)、HEAD-US法(p=0.041)のスコアに有意差を認めず、新規スコアリングシステムのみスコアに有意差を認めた(p=0.007)。上述の結果は症例数が十分とは言えないため、その後もデータ収集を継続し、現在、関節超音波画像検査実施数は65症例となっている。これらすべてのデータにおいても上記有用性を示すことができるかを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例数は十分となったがデータ量が膨大となり、その整理と解析に時間を要している。また、足関節出血予測スコアリングシステムとして報告するためには、上述の方法では厳密には足関節内出血を予測してはいないため、本システムのカットオフ値を策定し、スコアリング後1年間における足関節内出血の有無を評価する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
エコー所見の収集は終了し、そのデータ整理および解析を早急に実施し、本システムの有用性を証明する。また、本システムが出血予測に有用であると示すために、本システムのカットオフ値を策定し、スコアリング後1年間において足関節内出血が発生したか否かの情報を収集し、解析を行う。さらに、経時的変化を追えている症例が40例あるため、出血予測のみにとどまらず、スコアの高低によって関節症の進展度にどのように影響するかもあわせて評価していきたい。さらに、本研究では肘関節や膝関節のデータ収集もしているため、上記スコアリングシステムの評価項目を参考に、それらの関節においても同様に出血予測としてのスコアリングシステムを構築し、有用性を検討する予定である。本システムにて評価する項目は、エコープローブを当てる位置や角度が多少変わってもスコアリングに大きく影響を与えないことが利点として挙げているが、エコー機器によるPDS検出力差、検査者によるスコア差が生じないとは言えないため、多施設にて本システムの有用性を検証する必要がある。
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