研究課題/領域番号 |
20K18066
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
柳原 裕太 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 特定助教 (20865703)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Dnmt1 / エピジェネティクス / 軟骨分化 / 成長軟骨 / エネルギー代謝 / Uhrf1 / 骨代謝 / 骨関節疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴う骨粗鬆症や変形性関節症 (骨・関節疾患) は、生活の質を低下させる要因となります。健康長寿獲得のためには、骨・関節疾患の予防・治療法の開発が必要です。近年、加齢に伴う疾患の多くは、DNAの塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現の制御機構である“エピゲノム”の異常が関わることが分かってきています。そこで、我々はエピゲノムの一つであるDNAのメチル化に注目し、骨関節疾患との関係解明に取り組んでいます。本研究ではDNAのメチル化を促進し、遺伝子発現を抑制させるUhrf1及びDnmt1と骨・関節の恒常性維持のメカニズムを明らかにし、新規治療標的分子を同定したいと考えています。
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研究実績の概要 |
近年、加齢に伴う疾患の多くは、DNAの塩基配列の変化を伴わない後天的な遺伝子発現の制御機構であるエピゲノムの異常が関わることが分かっている。そこで、我々はエピゲノムの一つであるDNAのメチル化に注目し、骨・関節の恒常性維持のメカニズムの解明に取り組んでいる。本研究において我々はDNAメチル化酵素であるDnmt1を四肢の間葉系幹細胞特異的に欠損させた(cKO)マウスを用い、種々の解析を実施し、当該年度までに次のような結果を得た。 cKOマウスの長管骨の骨長はコントロール(Ctrl)マウスの45-60%程度であり、顕著な長管骨の短縮を示した。組織学的解析の結果、1週齢において増殖軟骨層の菲薄化、肥大軟骨層の増大および石灰化の促進を認めた。これらの結果から、cKOマウスでは軟骨細胞分化が促進していることが示唆された。つぎにDnmt1によって発現制御され、軟骨細胞分化に影響を及ぼす遺伝子を同定するため、RNA-SeqとMBD-Seqの統合解析により、Dnmt1欠損に伴うDNAメチル化の減少によって発現増加した遺伝子を絞り込んだ。その結果、DNAメチル化低減により発現上昇した上位4遺伝子がエネルギー代謝に関連していた。 そこで当該年度では、細胞内エネルギー代謝に注目し、研究を展開した。メタボローム解析を実施した結果、Dnmt1 cKO軟骨細胞において石灰化に重要な役割を担うATPをはじめ、TCAサイクル及び解糖系の代謝産物のほとんどが高値を示すことが明らかとなった。さらに、Ctrl 軟骨細胞は、グルコースおよびグルタミン不含培地では石灰化が認められなかったが、cKO 軟骨細胞は同じ条件下で石灰化した。 これらのことから、DNAメチル化維持機構は、軟骨細胞エネルギー代謝を介して軟骨細胞の石灰化による骨格形成を制御している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は職務上の都合により研究時間を確保できなかったが、当該年度においては特に不測の事態は起きず、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
近年Dnmt1が、変形性関節症(OA)の病態進行に伴い関節軟骨に発現が増加することが報告されており、その役割が注目されている。しかしながら、OAにおけるDnmt1の役割については、そのほとんどが不明であった。本研究のこれまでの結果から、DNAメチル化維持機構は、エネルギー代謝を介して軟骨細胞の分化を制御する可能性が示唆されている。そこで今後は、OAの進行に伴い関節軟骨に発現が増加するDnmt1が病態に及ぼす影響を解析し、エネルギー代謝を調整することがOAの治療標的として有用か確認する。
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