研究課題/領域番号 |
20K18113
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
洪 陽子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70824754)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 腎細胞癌 / PD-L1 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 免疫組織化学染色 / 次世代シークエンス / 腎癌 / 免疫組織化学染色検査 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
進行性腎癌は免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待されるが、奏功例は限られ、副作用や医療経済の点からも治療効果を予測するバイオマーカーの確立が急務である。組織でのPD-L1発現は最も確立されたバイオマーカーであるが、腎癌での有用性は明確でない。既存の免疫組織化学染色による評価は検査アッセイが統一されず、PD-L1発現率が一致しないなどの問題点が指摘されている。本研究では、次世代シークエンスおよびバイオインフォマティクスの手法により、腎癌組織のPD-L1発現機構を解明することを目的とする。それにより既存の免疫組織化学染色検査アッセイの問題点を解決し、バイオマーカーとしての確立を目指す。
|
研究成果の概要 |
既存の4つのPD-L1免疫組織化学染色(IHC)検査(22C3、28-8、SP142、SP263)を用い、腎癌症例300例から作製した組織マイクロアレイにおけるPD-L1発現を評価した。SP142によるPD-L1陽性率は極端に低く、28-8によるPD-L1発現は22C3、SP263と適度に相関を示した。また次世代シークエンス解析を行い、IHCの抗体結合部位に影響を及ぼしうるPD-L1タンパクの構造異常を探索したが検出することはできなかった。PD-L1のmRNA発現は予後との相関を示さなかったものの、22C3、28-8、SP263によるタンパク発現は腎癌の予後と有意に相関することを見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
予後不良である進行性腎癌に対し、免疫チェックポイント阻害剤が適応となったものの、奏功症例は限定的である。組織中のPD-L1発現は最も確立されたバイオマーカーであるが、腎癌での有用性は明確ではなく、その評価体系には多くの問題点が指摘されている。我々は、多検体を用いたPD-L1タンパク発現の評価および次世代シークエンス解析を行い、既存のPD-L1免疫組織化学染色検査によるタンパク発現はアッセイ間で完全には一致せず、特定のアッセイにおいて予後との相関を示した。これらのアッセイは腎癌における免疫チェックポイント阻害剤の治療選択マーカーとしての有用な可能性があり、学術的意義を有するものと考えられる。
|