研究課題/領域番号 |
20K18121
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
伊藤 悠城 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90766619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 下部尿路症状 / バリントン核 / 加齢 / マウス / 膀胱 / 光遺伝学 / 下部尿路機能 / 排尿 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の下部尿路症状に対する治療は、膀胱および前立腺の受容体を標的としたものに限られており中枢神経系を標的とした治療薬は皆無である。にもかかわらず、高齢者における下部尿路機能障害は、潜在性脳梗塞などが原因である場合が多く、加齢に伴う下部尿路症状には排尿機能を司る中枢神経系の異常が強く関与していると考えられている。排尿を管理する脳幹バリントン核の、加齢に伴う機能障害を検討した報告はない。 今回我々は老齢マウスを用いて、排尿を支配している神経核であるバリントン核の機能解析を行い、加齢に伴う下部尿路機能障害の発生機序を明らかとし、その先に新たな創薬ターゲット探索ならびに新規治療方法確立を目指す。
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研究成果の概要 |
老齢CRH-ires-Creノックインマウスのバリントン核に、Cre依存性アデノ随伴ウイルスを注入し、バリントン核を光遺伝学的に刺激した。バリントン核への光遺伝学的刺激に対しては、老齢群の膀胱収縮の反応率が有意に高かった。次に、ジフテリアトキシンによるバリントン核CRH陽性ニューロンの細胞死を起こした上で、排尿行動を観察した。結果、老齢群では尿閉状態となり、若齢群では排尿パターンの変化のみで尿閉状態には至らなかった。 老齢マウスの排尿は、バリントン核CRH陽性ニューロンにより強く依存している可能性が考えられ、これらの事象が加齢に伴う下部尿路症状の原因である可能性も考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
超高齢化社会を迎えた先進国を中心に、下部尿路症状に伴うQOL障害が個人のみならず、社会的経済的負担となっている。加齢に伴う下部尿路症状は、蓄尿および排尿症状の両者を認めることが特徴である。我々はこれまで橋のバリントン核が、膀胱機能の蓄尿および排尿両者のコントロールに関与することを見出してきた。加齢に伴う下部尿路症状の元凶がこのバリントン核の機能異常にあるのではないかという仮説立てている。 今回、老齢マウスのバリントン核の一部が加齢に伴い異なる挙動を呈することが示唆された。このことは今後加齢に伴う下部尿路症状の治療標的としてバリントン核が重要なターゲットである可能性を示すものと思われた。
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