研究課題/領域番号 |
20K18137
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐野 剛視 京都大学, 医学研究科, 助教 (60866309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 膀胱癌 / 生体イメージング / 二光子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、従前の実験法では成し得なかった、『膀胱癌の発生・生着や進展の過程、膀胱癌組織と腫瘍微小環境との相互作用、および抗腫瘍薬に対する「膀胱癌組織と周囲環境を含めた空間」の反応の時空間的な可視化』により、新たな知見や治療戦略をメカニズム的に解明可能な実験系を構築することである。この実験系を土台に、適切な膀胱癌 モデルマウスを用い、癌の発生・生着や進展のタイムラインに合わせて適切なタイミングで適切な部位を、長時間安定して生体イメージングする方法を確立することで、膀胱癌に応用し、膀胱癌と腫瘍微小環境を含めた時空間的な解析を行うことは非常に独自性が高く、医学の発展に大きく貢献すると考える。
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研究成果の概要 |
二光子顕微鏡を用いた生体イメージングにより、マウス膀胱癌細胞株(MB49)を膀胱注入することで、尿路上皮集団運動(uCCM)が生じることを発見した。uCCMは、src阻害剤dasatinibの経静脈・経口投与、FAK阻害剤PF-573228の経静脈投与によりほぼ停止し、src/FAKシグナル経路に依存していると考えられた。Dasatinibの連日経口投与によりMB49の膀胱注入モデルでは腫瘍の増大が有意に促進された一方、皮下移植モデルでは腫瘍増大がやや抑制された。このことから、uCCMの抑制が腫瘍の増大を来す、つまりuCCMが癌細胞の尿路上皮生着を抑制する防御機構であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌細胞から分泌される物質、あるいは癌細胞に応答して尿路上皮から分泌される物質により尿路上皮が集団運動し、癌細胞から膀胱を守るための防御機構として働くと考えられた。 膀胱癌は経尿道的切除術の後にしばしば膀胱内に播種再発する。MB49による同所性膀胱癌マウスモデルは、膀胱内播種再発を模したモデルとされており、本研究の結果は、集団運動を誘導する物質を同定し、防御機構を強化することができれば、経尿道的切除術後の播種再発を予防できる可能性を示唆すると考えられる。
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