研究課題/領域番号 |
20K18151
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井澤 水葵 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80868761)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膀胱癌 / CD73 / 癌微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の筋層非浸潤性膀胱癌の再発・進展予防ならびに治療は多様化を示しながらも、依然としてBCG治療が主軸のままで、新規治療戦略の開発が急務である。本研究で我々は、細胞膜酵素であるCD73発現に着目し、癌微小環境における免疫応答をあきらかにすることで、筋層非浸潤性膀胱癌における治療効果予測因子を確立したい。CD73は腫瘍内の細胞外アデノシン代謝に深く関与し、免疫寛容に通じる。我々は本研究で、転移性膀胱癌におけるCD73発現にも着目し、抗PD-1/PDL-1抗体の適応や最適な免疫チェックポイント阻害剤の併用についても基礎的エビデンスを確立したい。
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研究成果の概要 |
本研究ではCD73の発現が現在臨床で用いられている膀胱癌治療とどのように関連するのかに着目して研究計画を立案した。当院で手術が施行された膀胱癌156例を対象とし、組織マイクロアレイを作成した。5種の細胞マーカー(CD3、CD8、Foxp3、PD-1、PD-L1)とCD73との共発現を、多重蛍光染色と自動画像定量システムで可視化した。腫瘍内に存在する多様な細胞種毎にCD73発現の階層化をおこない、細胞種に応じたCD73発現と生命予後・治療効果の統計学的な解析をおこなった。免疫細胞におけるCD73の発現量の増加は、腫瘍微小環境の特性に依存し、進行のリスクと相関することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌研究におけるCD73依存的な細胞外アデノシン代謝の役割は、多岐にわたる分野で注目されているが、膀胱癌領域における報告は少ない。本研究ではCD73の発現が現在臨床で用いられている膀胱癌治療との関連について着目した。近年の腫瘍免疫学の発展によって、膀胱癌はヒトの癌のなかでも遺伝子変異が多く、免疫チェックポイント阻害剤が有効であることは周知の事実となった。CD73を通して癌免疫応答を解明することで、BCG注入療法の治療効果予測因子を確立するのみならず、転移・切除不応性膀胱癌の臨床で用いられている抗PD-1/PDL-1抗体の適応や最適な免疫チェックポイント阻害剤の併用についても理解が進んだ。
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