研究課題/領域番号 |
20K18166
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山ノ井 康二 京都大学, 医学研究科, 助教 (70868075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 飽和脂肪酸 / ステアリン酸 / DNA障害 / アシル化 / オレイン酸 / 高脂肪食 / 不飽和脂肪酸 / 卵巣癌 / パルミトイル化 / 翻訳後修飾 / 脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はパルミトイル化の視点から、HFDが直接卵巣癌の悪性性質に関与するメカニズムを解明することである。これが解明された場合、世界で初めて担癌患者に科学的エビデンスのある食事療法を提供できること、並びにそれが最も勧められる患者群を探索することが可能となる。 またその詳細なメカニズムには、ZDHHC酵素を中心としたネットワークがあると想定しているが、それらが新たな治療標的となり、新規治療薬の一つの標的となる可能性丸。
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研究成果の概要 |
生体内にふんだんに見られる長鎖脂肪酸であるパルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸が卵巣癌細胞に及ぼす影響をin vitroにて検証した結果、ステアリン酸が複数の卵巣癌細胞を明らかに抑制することがわかった。in vivoでも同様の結果を得た。さらに不飽和化酵素(SCD1)の抑制により、腫瘍増殖抑制効果が著しく増強することも確認できた。 メカニズムとしては、DNA障害が明らかに生じていることがわかり、加えて小胞体ストレスが生じている可能性も示唆される。またリボソーマルタンパク質のアシル化も関連している可能性がある。特に後者がDNA障害に関与するメカニズム解明を、今後目指したい。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、長鎖脂肪酸の中でもステアリン酸が特に、卵巣癌細胞に対する強い細胞障害を及ぼすことが初めて明らかになった。in vivoでも効果を確認したのは本研究が初めてである。特にステアリン酸リッチな食事による細胞増殖抑制効果は、大きな社会的意義を持つと考えられる。 ステアリン酸はパーム脂など日常の食事にふんだんに含まれるものであり、これを軸とした食事治療は十分導入が現実的に検討できる。癌治療の中で初めて、具体的なエビデンスを持った食事治療を提唱する、一つの根拠になると考えられる。メカニズムの探索をさらに行うことで、ステアリン酸に着目した食事療法の可能性をさらに拡げたいと考えている。
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