研究課題/領域番号 |
20K18175
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐藤 杏奈 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (20869630)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 妊娠高血圧腎症 / COMT / マグネシウム欠乏 / 2-methyoxyestradiol / NaCl共輸送体 / 塩分感受性高血圧 / 2ME |
研究開始時の研究の概要 |
塩分感受性, Mg欠乏とCOMT不全/COMT遺伝素因に注目し、詳細な分子機構が不明であった妊娠合併症、代謝高血圧疾患の病態におけるそれらの相互作用を解明する。COMT不全の病態的意義を2-ME欠乏の観点から検討してきたが、本研究の完遂によりCOMT遺伝素因とMg欠乏/塩分摂取という環境因子との相互作用が明らかとなり、COMT遺伝素因をもとに科学的根拠に基づいた食事栄養指導、生活指導が可能になり、妊娠合併症予防が可能になることで母体・胎児・新生児の生命予後の改善や将来的なメタボリックシンドロームの発症予防につながる可能性がある。また、PE既往のある女性に対する介入の可能性も示すことができる。
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研究実績の概要 |
妊娠高血圧腎症(PE)既往は閉経後塩分感受性高血圧(SSH)、PE母体児における代謝高血圧疾患リスクとの関連が示唆され、遺伝素因を背景とした共通の分子機構を有する可能性がある。2-methoxyestradiol(2-ME)はマグネシウム(Mg)依存性酵素であるcatechol-o-methyltransferase (COMT)により産生されるエストロゲン終末代謝産物であり、2-ME欠乏はPE惹起と関連する。本研究ではMg欠乏がCOMT活性に及ぼす影響、2-ME欠乏とSSH発症の相関を遺伝的COMT活性の異なる2系統のマウスを用いて解析した。雄マウスではMg欠乏は遺伝的COMT低活性を有するDBA/2Jマウスでのみ高塩分負荷で有意なCOMT活性低下とSSHを発症した。遺伝的強活性を有するC57BL/6JマウスでもCOMT阻害剤によりSSHが惹起された。両SSH群では腎臓のNaCl供輸送体経路が活性化しており、2-ME投与は本経路の抑制と降圧効果を示した。雌DBA/2Jマウスにおいては卵巣摘出マウスのみMg欠乏環境下で有意なCOMT活性低下とSSHが発症した。以上より、Mg欠乏は遺伝的COMT低活性との相互作用により、2-ME欠乏を惹起し、SSH発症に寄与する事が示唆された。雌DBA/2Jマウスの結果は、閉経後女性でのSSH発症リスク上昇を示唆した。また、2-ME欠乏は閉経後SSH、PEに共通する分子機構である可能性が高い。本研究において、遺伝的なCOMT活性低下とMg欠乏がさらなるCOMT不全と2-ME欠乏を惹起し、SSHを誘導する事が明らかとなり、COMT活性を鑑みたMg欠乏是正の必要性が示唆された。雌マウスに正常Mg、低Mg食を与えて血漿Mg値が変化した後に妊娠させたモデルでは、DBA/2Jマウスでも妊娠中の血圧にMg依存性の変化は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症により、胎盤の採取に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
実際にヒト胎盤を用いて、正常妊娠胎盤と妊娠高血圧腎症胎盤におけるCOMT活性を測定し、比較検討する。 現在までの研究成果から、COMTの代謝産物である2-ME濃度が感度以下で測定できない点が今後の課題であった。 このため、プロトコルの改良を検討する必要があり、本研究の根元的な目的であるCOMT活性評価を母体の遺伝子多型解析から評価検証する必要があり、本備品を用いてシーケンスデータの解析を実施する。
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