研究課題/領域番号 |
20K18176
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
黒田 高史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70869552)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 卵巣明細胞癌 / ARID1A / SLC7A11 / グルタチオン / 婦人科癌 / メタボローム |
研究開始時の研究の概要 |
ARID1A遺伝子は卵巣明細胞がん,卵巣類内膜がん,子宮内膜がんなどで高頻度に機能喪失性変異を有する.それらの婦人科がんでは遺伝子変異に基づく個別化治療法の開発が必要である.ARID1A遺伝子変異を有する卵巣明細胞がんでは,SLC7A11の発現低下により特定の代謝物量が減少するというメタボローム(代謝)異常が治療標的になりうる可能性が報告されている.臨床検体を用いた免疫染色や遺伝子解析等を行うことで,婦人科がんにおけるメタボローム異常の相関と発がん機序への関与,メタボロームを標的とした治療法がARID1A遺伝子変異婦人科がんで有効かどうかを明らかにし,個別化治療法の開発を目指す.
|
研究成果の概要 |
ARID1AはSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体をコードしている。SLC7A11はグルタチオン代謝に重要な役割を果たし、癌の増殖、進行、転移、多剤耐性に関与する。卵巣明細胞癌、類内膜癌、高悪性度漿液性卵巣癌について、免疫組織化学的解析を実施した。ARID1A陰性率は、OCCCで50%、ENOCで40%、HGSCでは0%であった。OCCCでARID1A発現が消失した患者のうち、SLC7A11が消失した患者は67%、ENOCではSLC7A11が消失した患者が25%であった。本研究によりSLC7A11 の発現が低下している ARID1A 欠損 OCCC 患者の関与を示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
卵巣明細胞癌はアジアで発生頻度が高いが、予後不良で治療法が確立されていない。ARID1A変異頻度は、卵巣明細胞癌で50%と報告されている。SLC7A11分子はグルタチオン代謝に重要な役割を果たし、癌の進展に関与する。ARID1A 変異により卵巣明細胞癌細胞がグルタチオン阻害剤に感受性を示すことが明らかになった。今回の研究の結果、卵巣明細胞癌でARID1A発現が消失した患者のうち、SLC7A11が高頻度で消失していた。SLC7A11 の発現が低下している ARID1A 欠損 OCCC 患者の関与を示唆され、ARID1A 欠損型 OCCC は、グルタチオン阻害剤による治療が有効である可能性がある。
|