研究課題/領域番号 |
20K18178
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
高田 笑 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30838347)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 末梢血中腫瘍細胞 / テロメラーゼ / サバイビン / 抹消循環がん細胞 / 血中循環腫瘍細胞 / 婦人科がん / 末梢血中循環腫瘍細胞 / 婦人科癌 |
研究開始時の研究の概要 |
がんはその進行・進展過程において遺伝学的にも生物学的にも大きく変容させる。末梢血中腫瘍細胞はその変化を捉え、治療に反映させるためのバイオマーカーとして有望視されている。しかし検出法や解析法は未だに確立されていない。現在、主流である細胞膜表面抗原に頼った検出方法では環境によって姿を変える癌細胞を捉えきれない可能性がある。本研究ではがん細胞の根源的性質である不死化能を司るテロメラーゼおよびアポトーシス抵抗性に重要なサバイビンの活性化を標的として末梢血中腫瘍細胞を検出する系を改良し、より簡便かつ安価な手法として標準化を図ると同時に、婦人科癌におけるその臨床的意義を明らかにすることを目標としている。
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研究実績の概要 |
がんはその進行・進展過程において遺伝学的にも生物学的にも大きくその姿を変容させる。末梢血中腫瘍細胞(circulating tumor cells; CTCs )はその変化を捉え、治療に反映させるためのバイオマーカーとして、また非侵襲的にがん細胞を得ることができるリキッドバイオプシーの手法として有望視されている。しかしながらその検出法や解析法は未だに確立されていない。現在、主流である細胞表面抗原に主に頼った検出方法ではその微小環境や遺伝子変異の蓄積などによって様々に姿を変える癌細胞を捉えきれていない可能性がある。本研究ではがん細胞の根源的性質である不死化能を司るテロメラーゼおよびアポトーシス抵抗性に重要なサバイビンの活性化を標的としてCTCsを検出する系を改良し、より簡便かつ安価な手法として標準化を図ると同時に、婦人科がんにおけるその臨床的意義を明らかにすることを目標としている。 hTERT(テロメラーゼの酵素活性中心蛋白)プロモーターおよびサバイビンプロモーター下流に細胞膜貫通ドメインとタグタンパクの融合タンパクを発現するベクターを作製した。これらのベクターの細胞導入後にタグタンパクに対する蛍光リガンドを用いてCTCsを標識、検出した。正常血液に培養癌細胞を一定数混入させたCTCモデル検体を用いて行ったCTCs検出実験では検出感度は約90%であった。本年度、このモデル実験の結果を踏まえて臨床検体による検討を予定したが、能登半島地震の影響のため外来での検体収集は次年度の課題とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. 正常血液を用いたコントロール実験 正常血液に培養癌細胞を一定数混入させたCTCモデル検体にhTERTプロモーターおよびサバイビンプロモーター下流に細胞膜貫通ドメインとタグタンパクの融合タンパクを発現するベクターを作成し、これらをマルチパルス式エレクトロポレーション法により導入し、癌細胞検出実験を行った。癌細胞は蛍光標識リガンドを用いて蛍光顕微鏡による検出を試みた。5mL血液中に培養癌細胞を1~10個混入させた系での検討を行った。癌細胞の検出感度はhTERT単独では約70%、サバイビン単独では約60%であったが、両者を併用することで検出率は約90%に向上した。また細胞の生存率は約80%であった。FACSによる回収もルーチン化して回収した癌細胞の遺伝子解析をsingle cellベースで行い、既知の遺伝子変異を確認することができた。 2. 臨床検体での検討 CTCモデルサンプルを用いたコントロール実験で良好な検出感度が得られたことにより臨床検体でのCTC検出を試みる予定であったが、今年度は、コロナ渦、能登半島地震の影響もあり外来での検体収集を断念し来年度の目標とした。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関の倫理委員会の承認のもと、婦人科がん患者、非がん患者を対象に臨床検体でのCTC検出ならびにFACSなどを用いた回収を試みる。 第一の目標はCTCのがんバイオマーカーとしての有用性の検討である。CTC出現の有無、CTCの個数による診断的意義、化学療法感受性ならびに予後との関連を解析する。 第二にはCTCを単離解析することにより婦人科がんの浸潤転移に関わる因子を明らかにすることを目標とする。既にsingle cellベースでwhole genome amplification後に通常のPCRベースのSanger法での遺伝子解析がラボ内で可能なことは確認されている。これによって既知の遺伝子変異に関しては簡便に解析することができる。CTCでの新規遺伝子変異の解析あるいは遺伝子発現解析にはコマーシャルベースのNGS解析の導入を考慮する。
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