研究課題/領域番号 |
20K18182
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
岡崎 有香 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 医師 (70816967)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 前期破水 / SLE / グルココルチコイド / 羊膜 / ITGA8 / コラーゲン / 早産 / 全身生エリテマトーデス / 全身性エリテマトーデス / ステロイド |
研究開始時の研究の概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)合併妊娠では早産が高率に合併することが知られているが、その病態および分子メカニズムは不明である。申請者らはSLE合併妊娠管理に用いられるステロイドが羊膜を脆弱化し、早産に直結する前期破水のリスクとなっているとの仮説のもと研究をすすめてきた。本研究ではこれまでの結果をさらに発展させ、ステロイドの羊膜に対する直接の作用機序を明らかにすること、また前期破水のリスクを上昇させない代替薬剤創成のための基礎データを抽出することを目的とする。これによりSLE合併妊娠の、より副作用の少ない治療法を確立するための基礎的な知見につなげることを目指す。
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研究成果の概要 |
前期破水の要因としてglucocorticoids(GC)が羊膜を脆弱化するという仮説を検証することを目的とした。羊膜間葉系細胞の培養中にdexamethasone(DEX)を添加すると細胞間電気抵抗が低下し、透過性が亢進することが示唆された。DEXによる同細胞、及びSLE合併患者羊膜での発現変動遺伝子には細胞接着に関わるものが有意に認められ、中でも繊維化やリモデリングに関わるITGA8が増加していた。ITGA8を過剰発現すると、MMPが増加、COL1A2, 3A1が低下し、コラーゲン分解への関与が示唆された。GCは羊膜透過性を亢進し、ITGA8を介して前期破水に寄与する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
SLE の治療には、一般的に妊娠中であってもできるだけ少ないグルココルチコイド(GC)とともに、免疫抑制剤を主体とした治療が推奨されている。しかし実際にはGCが比較的安全と考えられていることから妊娠中の膠原病疾患の基本治療がGCとなっていることが多い。しかし本研究で、GCは羊膜の透過性を高め、卵膜微小破綻の修復を妨げることで、前期破水に寄与する可能性があることが示された。妊娠中のGC投与量を最小限とすることで 前期破水のリスクを低減できる可能性があり、またGCの卵膜の脆弱性に寄与するメカニズムをさらに検討することで前期破水 リスクを減少させるための新しいアプローチの開発に役立つ可能性がある。
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