研究課題/領域番号 |
20K18184
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原 亜紀 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (00567448)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 子宮体癌 / 脂質代謝異常 / ヒストン修飾 / 慢性炎症 / エピゲノム / ヒストンメチル化酵素PRMT6 / 脂質代謝 / 子宮体がん |
研究開始時の研究の概要 |
子宮体癌は本邦で最も症例数が多い婦人科悪性腫瘍であり、肥満や生活習慣病がリスク因子である。それらは、脂質代謝異常から慢性炎症を引き起こし、癌化につながると言われている。近年、エピゲノム、特にヒストン修飾が癌化において重要である事が知られており、治療標的となり得る。我々は、脂質代謝と炎症を制御する上位因子にヒストン修飾が関わっているのではないかという仮説を立て、肥満や生活習慣病が子宮体癌の発生に関わるメカニズムの解明を目指す。さらにそのヒストン修飾を抑える天然化合物を同定し、子宮体癌の予防因子を探索する。解析手法として、ChIP-seq法、実験ロボット、人工知能などの最先端の技術を導入する。
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研究実績の概要 |
子宮体癌は本邦で最も多い婦人科悪性腫瘍であり、肥満や生活習慣病がリスク因子であるといわれている。また肥満や生活習慣病は脂質代謝異常からなる慢性炎症を引き起こし、癌化につながると言われている。近年、エピゲノム、特にヒストン修飾が癌化において重要である事が知られている。我々は、脂質代謝や炎症を制御する上位因子にヒストン修飾が関わっているという仮説を立て、肥満や生活習慣病が子宮体癌の発生に関わるメカニズムの解明を目指した。我々はヒストンメチル化酵素PRMT6に着目した。PRMT6はH3R2メチル化を触媒し、周辺のヒストン修飾を介して遺伝子の発現を調節している。子宮体癌におけるPRMT6の治療標的としての検討に加え、癌化や進展のメカニズムとしてヒストン修飾の調節機構をATAC-seqやChIP-seq等のエピゲノム解析にて検討した。当院子宮体癌52例と正常子宮内膜4例のPRMT6のmRNA発現量をq-PCRにより評価し、TCGAデータベース上の子宮体癌508例のmRNA発現量と予後の相関を検討した。子宮体癌細胞株をsiRNAによりPRMT6をknockdown (KD)し、細胞増殖抑制能、アポトーシス誘導能、ヒストンメチル化を検討した。続いてATAC-seq、ChIP-seqによりクロマチン構造の変化やヒストン修飾の調節機構を評価した。子宮体癌は正常子宮内膜に比して有意にPRMT6のmRNA発現量が高値で、予後と負の相関を示した(p<0.01)。PRMT6-KDによりH3R2メチル化の減少を伴うアポトーシス誘導型の細胞増殖抑制効果を認めた。ATAC-seqではPRMT6-KDにより3850領域のクロマチン構造が変化し、ChIP-seqではヒストン修飾を介して複数の癌関連転写因子、炎症制御因子を調節していることが明らかになった。我々はさらに上記下流因子の機能解析を進める予定である。
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