研究課題/領域番号 |
20K18193
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
後藤 香里 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10866403)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 着床関連遺伝子 / 子宮内膜細胞 / 胚移植時子宮内膜 / 妊娠 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、体外受精をはじめとした生殖補助医療は目覚しい発展を遂げているが、その妊娠率は必ずしも満足できる成績ではない。妊娠率の低い原因は、主に卵子の染色体異常に起因すると言われているが、最近になって子宮内膜の要因も注目されている。 本研究では、(1)子宮内膜における着床期の着床関連分子発現の解析、(2)着床関連分子の発現動態における妊娠不成功の原因解明、(3)異所性妊娠や子宮内膜症等の疾病との関連、について子宮内膜に発現するmRNAおよび蛋白質を解析することにより検討する。 その結果により、着床および妊娠率向上のための新たな黄体管理法の開発等を目指す。
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研究実績の概要 |
【目的】着床前胚異数性検査を受け正常胚を移植しても約3割が妊娠に至っていないことが報告されている。以前我々は胚移植時子宮内膜において、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)、HOXA-10の遺伝子発現が高い場合、妊娠率は低下することを報告した。子宮内膜は月経の度に入れ替わるため、月経周期間において、着床関連遺伝子量の発現に変化があることが推測される。今回は月経周期間において、着床関連遺伝子量の発現に変化があるか検討した。【方法】2018年11月から2019年7月までにホルモン補充による凍結融解胚移植を施行した7症例28周期を対象とした。胚移植は黄体補充開始から5日目に施行し、胚移植カテーテルに付着した子宮内膜細胞を検討に用いた。RNA抽出後逆転写し、real-time-RT-PCRを施行し遺伝子量を検討した。1症例は7周期に渡り発現量を検討し、他1症例は5周期、4周期、4症例は3周期の発現量の比を検討した。着床関連遺伝子としてER、PR、LIF、Mutin (MUC) -1、HB-EGF、HOXA-10を対象とした。【結果】ERおよびPRにおいて7周期、4周期、3周期連続測定を施行したが、発現比は最大でもそれぞれ約0.5倍であった。LIFにおいては5周期間では約2倍の差を認め、3周期間では最大約9倍の発現差を認めた。MUC-1は5周期間では約10倍の差を認め、3周期間では最大約3倍の発現差を認めた。HB-EGFは5周期間では約0.5倍の差を認め、3周期間では最大約17倍の発現差を認めた。HOXA-10は5周期間では約2倍の差を認め、3周期間では最大約6倍の発現差を認めた。【結論】ER、PRは周期間において発現変化を認めなかった。この結果はER、PR発現が高く着床に不適な環境の内膜は毎周期維持されている可能性がある。LIF、HB-EGF、MUC-1、HOXA-10においては周期間で変動する可能性がある。これらの変動がどのような影響を与えるか今後検討する必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出産後の実験、解析の時間確保の時間が減少したため、やや研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
以前我々は胚移植時子宮内膜において、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)、HOXA-10の遺伝子発現が高い場合、妊娠率は低下することを報告した。その原因を究明するため、患者背景を検討し、他にも妊娠へ影響を与える遺伝子についてRNAアレイやRNAシーケンスを用いて網羅的な遺伝子解析を実施したい。
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