研究課題/領域番号 |
20K18205
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 由妃 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (00836992)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 妊孕性温存療法 / 卵子凍結 / ミトコンドリア / がん・生殖医療 / 妊孕性温存 |
研究開始時の研究の概要 |
初経前の小児や思春期前を含めた若年がん患者では、月経周期がなくとも施行可能である卵巣組織凍結が唯一の妊孕性温存療法となるが、移植の際にがん細胞を体内に戻してしまうリスクが伴う。これを回避するため、本研究は安全な未熟卵子の体外培養技術を確立することを目的とし、培養及び凍結・融解の過程で未熟卵子や成熟卵子に起こりうる細胞傷害を、ミトコンドリアの動態解析やRNA―seqによるトランスクリプトーム解析を通して明らかにしていく。卵子における細胞傷害の原因究明は卵子の体外培養法の改良に不可欠であり、本研究により妊孕性温存治療における未熟卵子を利用した新たな治療の選択肢が広がる。
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研究成果の概要 |
ICRマウスより獲得したMⅡ卵子を新鮮卵子群と凍結融解卵子群に分けてそれぞれ評価を行った。走査型電子顕微鏡による内部構造変化の評価では、新鮮卵子群と比較して凍結融解卵子群においてミトコンドリアの密度の低下とミトコンドリアの膨化を認めた。Mito-tracker Green(MTG)、TMREでの蛍光染色施行後、共焦点レーザー顕微鏡でミトコンドリアの クラスター分布およびその面積の解析評価では、両群間のクラスター数に有意差を確認した。定量PCR及びデジタルPCRのミトコンドリアDNAコピー数の評価では両者間に有意差は認めなかった。凍結卵子における障害は細胞死を誘導する障害ではないことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
若年がん患者における妊孕性温存療法の一つとして卵子凍結が注目を浴びている中、本研究は卵子凍結における低出生率について着目した。今回の検討では卵子の凍結融解におけるダメージを検討した。顕微鏡下観察による形態的評価では新鮮卵子同様全く異常のない凍結融解卵子であっても、卵子の凍結融解ストレスによるミトコンドリア障害が生じていることを明らかにした。卵子凍結では卵子の細胞死を誘導するほどのダメージではないが、ミトコンドリアをはじめとしたオルガネラの障害が生じることが示唆された。本研究により凍結融解障害が凍結卵子における妊娠率低下の原因となる可能性が示唆された。
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