研究課題/領域番号 |
20K18227
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
市川 麻祐子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30833678)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | リゾリン脂質 / 胎盤機能不全 / 妊娠高血圧症候群 / オートタキシン / LPA3 / 妊娠高血圧腎症 / LPA / TFPI2 / 胎盤形成不全 / 脂質 / 脂肪組織培養 / 絨毛細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠高血圧腎症(Preeclampsia:PE)は、母体に致死的な多臓器障害を引き起こすと共に子宮内胎児発育遅延を合併し、母児双方に予後不良となる疾患である。PEの治療薬はなく、妊娠終結のみが病態を終息させる唯一の手段であり、新たな治療・予防戦略の構築は周産期医学における重要課題である。本研究は、妊娠初期の胎盤形成における絨毛細胞機能を制御する分子生物学的機構を解明し、妊娠初期段階での背景要因を同定することでPE発症を抑止する新規治療戦略構築の足掛かりとなることを目的とする。
|
研究成果の概要 |
正常妊娠・妊娠高血圧症候群(以下HDP)の胎盤では、酸化ストレスは妊娠週数とともに上昇し、抗酸化力は低下した。血清ATX濃度との関係では、正常妊娠・HDP共に酸化ストレスと正の相関を示し、抗酸化力はHDP群で負の相関を示した。妊娠時期別では、血清ATX濃度と酸化ストレスマーカーとの相関は後期で顕著であった。絨毛細胞株への酸化ストレス刺激ではATX mRNA発現が誘導され、LPAシグナル刺激は細胞への活性酸素種の集積を減少させた。 胎盤のATX-LPA経路は酸化ストレスを調整することにより免疫調整や細胞分化に影響を与え、胎盤機能を胎児発育のために適切なレベルに調整する役割を担うことが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胎盤のATX-LPA経路は酸化ストレスを調整することにより免疫調整や細胞分化に影響を与え、胎盤機能を胎児発育のために適切なレベルに調整する役割を担っていることが示唆された。 これまで、胎盤機能を適切に評価できるマーカーは報告されていなかった。妊娠中の血清ATX濃度の測定は、胎盤機能を評価するための有用なバイオマーカーの候補となり得る。今後は、妊娠高血圧症候群のみならず、胎盤機能と関連する子宮内胎児発育遅延等の症例においても、血清ATX濃度の測定が有用である可能性がある。
|