研究課題/領域番号 |
20K18242
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
寺田 小百合 山形大学, 医学部, 医員 (40795697)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | hidden hearing loss / cochlear synaptopathy / HMGB1 / 内耳再生 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、強大音暴露による一過性聴覚障害後に、通常の聴力検査は正常であるにも関わらず、騒音下での聞き取りが著明に低下するhidden hearing lossという病態が注目されている。この原因として、これまで聴覚障害の原因とされていた有毛細胞の障害より先に、内有毛細胞と聴神経間のシナプスが障害されることが考えられており、このことから、今後は有毛細胞のみならず、聴神経の再生治療の開発が必要である。 本研究では近年、自己の骨髄MSCの誘導を介して組織修復に働く蛋白として注目を集めているhigh-mobility group box 1を用いた聴神経再生による感音難聴治療の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、強大音暴露による一過性聴覚障害後に、通常の聴力検査は正常であるにも関わらず、騒音下での聞き取りが著明に低下するhidden hearing lossという病態が注目されている。この原因として、これまで聴覚障害の原因とされていた有毛細胞の障害より先に、内有毛細胞と聴神経間のシナプスが障害されることが考えられており、cochlear synaptopathy (primary neural degeneration)と呼ばれている。これまでの感音難聴の治療は、有毛細胞の保護や再生に主眼を置いた治療であったが、今後は有毛細胞のみならず、聴神経の再生治療の開発が必要である。 本研究では近年、自己の骨髄MSCの誘導を介して組織修復に働く蛋白として注目を集めているhigh-mobility group box 1 (以下HMGB1)を用いた聴神経再生による感音難聴治療の開発を目指している。 今年度は、昨年度に引き続き、cochlear synaptopathyモデルの作製を行っている。今年度はさらに詳細な音響曝露条件について個体数を増やして検討した。その結果、ある一定の音圧条件で、高音域に一過性の閾値上昇を認める個体の作製に成功した。さらにその個体のABRでは、第Ⅰ波振幅の減少を認めた。共焦点顕微鏡を用いて組織を観察したところ、第Ⅰ波振幅が減少する音域における後シナプスの数が、他の音域と比較して減少しており、cochlear synaptopathyモデルとして良好な結果であった。しかしまだ個体ごとに結果にばらつきがあり、安定したモデル作製の確立には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画当初は共同研究チームである防衛医科大学校の水足らとlaser-induced shock wave(LISW)を用いたcochlear synaptopathyモデルの作製を行っていたが、国内における新型コロナウイルス感染拡大のため、このモデルの使用は断念した。そのため、今年度は昨年度に引き続き、先行研究を参考に、音響曝露によるcochlear synaptopathyモデルの作製を行った。様々な条件検討を行い、cochlear synaptopathyモデルとして良好な結果を得ることができた個体もあったが、まだ再現性のあるモデルの確立までには至っていない。このためHMGB1を用いた感音難聴治療の開発実験には着手できておらず、研究全体の進捗状況としては遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
音響曝露によるcochlear synaptopathyモデルについて、結果の再現性を確認し、安定した障害モデルの確立を目指す。さらに、障害モデルを確立したのちに、HMGB1を投与し、治療効果を検討する予定である。
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