研究課題/領域番号 |
20K18258
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
井内 寛之 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (90645285)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 連鎖球菌 / ホスホリルコリン / 血小板活性化因子受容体 / ワクチン / 上気道感染症 / emm遺伝子 / 肺炎球菌 / インフルエンザ菌 / 黄色ブドウ球菌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では上気道感染症の主たる起炎菌である肺炎球菌(Spn)、無莢膜インフルエンザ菌(NTHi)、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌の上気道粘膜上皮細胞への接着および侵入におけるホスホリルコリン(PC)の役割を明らかにし、これまで広域スペクトラム粘膜ワクチンとして研究が進められてきたPCの直接作用による細菌感染防御の可能性を検討し、新たな創薬の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
化膿連鎖球菌の8つの臨床株を培養し、蛍光活性化セルソーティングを使用してPC発現を測定した。化膿連鎖球菌の表面に発現するPCの発現は各株で異なり、同じemm遺伝子型でも異なっていた。デトロイト562細胞を用いて細菌の付着と浸潤を調べた。抗PC特異的モノクローナル抗体 (TEPC-15) を使用して細菌のPCを阻害し、PAF-Rアンタゴニスト (ABT-491) を使用して細胞 PAF-R を阻害した。細菌接着実験および細胞内侵入実験ともに、TEPC-15およびABT-491の阻害効果と化膿連鎖球菌におけるPC発現との間に有意な負の相関関係が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺炎球菌やインフルエンザ菌に対してワクチン接種が義務化され侵襲性の感染症が減少してきている。しかしながら、ワクチン株以外の感染は減少せず、耐性菌の問題や無莢膜インフルエンザ菌についてはワクチンの効果はない。また、化膿連鎖球菌に対するワクチンの開発はなされていない。ホスホリルコリン(PC)はすべてのグラム陽性および陰性菌の細胞壁の構成成分であり、血小板活性化因子受容体を介して細菌の上皮への接着や細胞内侵入に関し、PCの発現は肺炎球菌やインフルエンザ菌の病原性と相関することが知られている。今回初めて化膿連鎖球菌とPC発現の相関を発見した。上気道感染症に対するワクチン開発に大いなる一歩となる。
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