研究課題/領域番号 |
20K18263
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
栗岡 隆臣 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 講師 (30842728)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 聴覚障害 / シナプス / 難聴 / 耳鳴 / 神経可塑性 / 髄鞘 / 認知機能 / 海馬 / 内耳 / 聴覚中枢 / 神経炎症 / 免疫反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、難聴が抑うつ・認知機能に及ぼす影響とその病態解明を目的とする。中枢での神経炎症や免疫細胞の活性化に着目し、難聴後の海馬や蝸牛神経核におけるミクログリアの遊走、炎症性サイトカインの発現について解析を行い、難聴とうつ・認知機能の関連について検討する。さらに、海馬の神経新生能を評価し、神経炎症や神経新生を中枢で制御することが難聴に対する新しい治療法となりうるかについて探究する。
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研究成果の概要 |
本研究ではまず、①伝音難聴による中枢への聴覚情報入力の低下が海馬の神経新生に及ぼす影響について検討した。マウスの耳穴に印象材シリコン樹脂を2ヶ月間充填し、伝音難聴モデルを作成した。伝音難聴マウスでは海馬におけるDCNおよびKi-67の発現が低下しており、海馬の神経新生能が低下することが示唆された。 続いて、②内耳障害が蝸牛神経核に及ぼす影響について検討した。内耳障害モデルでは、蝸牛神経核の興奮性、抑制性シナプスマーカーの発現はいずれも低下しており、内耳障害の程度と中枢の変化は相関しないことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
伝音難聴による中耳から内耳への音響刺激の減少が蝸牛神経、脳に及ぼす影響と神経可塑性について検討した。耳栓により有意な聴力閾値の上昇を認めたが,耳栓解除後には聴力閾値は完全に回復した。組織学的には,有毛細胞や蝸牛神経の消失は認めなかったが,内有毛細胞と蝸牛神経の接合部シナプス数,蝸牛神経軸索径および髄鞘化が有意に低値となった。これらの組織学的変化は伝音難聴の解消により回復を示した。さらに海馬の神経新生能も低下を示した。以上のことから,聴覚刺激に依存して脳は可塑性を有すると考えられ,伝音難聴においても蝸牛神経への電気刺激を維持することが重要と考える。
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