研究課題/領域番号 |
20K18268
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
中村 有加里 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80769117)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 嗅覚障害 / 神経芽細胞 / 嗅上皮 / Rostral Migratory Stream / 脳透明化 / 嗅覚中枢再生 / 認知症 / 嗅神経 / Rostral migratory stream |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類は成人後も嗅覚に関わる細胞が再生すると言われているが、中枢から臭いを認知する嗅球への細胞の新生がどのように促進されるのか、また成長促進因子や嗅覚障害などの変化による影響をどのように受けるのかを明らかとする。
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研究実績の概要 |
成体マウスの嗅上皮を脱落させて嗅覚障害を起こし、約1ヶ月で回復してくるまでの過程について、嗅上皮と嗅球、脳内にある新生細胞が嗅球へ移動する経路の3点を観察し検討を行った。 嗅上皮は脱落して3日目ほどの時には厚みが減少するが、その後徐々に増加しておよそ1ヶ月ほどで完全に回復する。嗅上皮が脱落すると、一時的に嗅球との繋がりがなくなることによって嗅球の中にある細胞が萎縮し、嗅神経の線維も減少していることが確認された。しかし、嗅球内の新生された幼弱な細胞は増加傾向であり、嗅上皮が脱落した刺激を受けて嗅球内の細胞を新生する働きをもたらしている可能性が考えられた。 一方で脳内の嗅球への移動経路では、嗅上皮が脱落して厚みが減少した時期に一致して、移動する新生細胞の数は減少して、その後再増加することが確認された。 嗅上皮と嗅球、脳内での今回の検討から、嗅上皮の障害を受けることによって嗅球の細胞は萎縮して嗅覚障害を発症し、その回復のために嗅上皮と中枢の双方向から再構築されていき変化していくことが明らかになった。この結果によって、嗅覚低下は中枢への刺激が低下することによって、中枢への影響を少なからずもたらす事が考えられ、嗅覚障害と認知症との関連性をより強固とした。さらに、まだ明らかとなっていない異嗅症の発生するメカニズムに関連している可能性があり、これらの病態を解明していく一助となり得ることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は予定していた実験・研究を全て終了し、その研究成果を論文にまとめ完成させている。 現在はその論文を掲載希望先へ送付しており、査読を行っていると共に必要と考えられる追加実験について検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
投稿中の論文についての査読および、必要に応じた追加実験を行い受理されれば、本格的に論文として今回の研究結果を報告する。 また、今回の研究結果を合わせて学会で報告予定である。 さらに今回の研究結果で新たに課題となった研究内容について、検体の追加や染色・統計の検討を行った上で実験を開始していく予定である。
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