研究課題/領域番号 |
20K18301
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本間 あや 北海道大学, 大学病院, 助教 (70547653)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 耳鼻咽喉科学 / 時計遺伝子 / アレルギー性鼻炎 / アレルギー学 / 時間生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒストン脱アセチル化酵素であるSirtuin1(SIRT1)および時計遺伝子と、アレルギー性鼻炎の病態に関与する2型サイトカイン活性との関連性およびその周期性を検討する。 アレルギー性鼻炎の症状には日内変動があり、体内時計により制御されている。SIRT1の活性は概日変動を示し、ヒストンH3を周期的に脱アセチル化して時計遺伝子発現を調節する。また、SIRT1活性がIL-4やIL-13などのTh2 サイトカイン発現に関与することが報告されていることから、アレルギー性鼻炎の病態形成およびその周期性に、SIRT1および時計遺伝子が関与しているかを検討、時計遺伝子を標的とした新規治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
アレルギー性鼻炎の症状には日内変動があり、体内時計により制御されている。また、SIRT1の活性は概日変動を示し、時計遺伝子産物BMAL1を周期的に脱アセチ ル化して時計遺伝子発現を調節する。近年、SIRT1活性がIL-4やIL-13などのTh2サイトカイン発現を制御することが報告されており、アレルギー性鼻炎の病態形 成およびその症状の日内変動に、SIRT1および時計遺伝子が関与していることが疑われる。本研究では、鼻粘膜の時計遺伝子とSIRT1の発現量を経時的に測定し、鼻炎症状の概日変動との関連を評価する。また、レスベラトロールなどのポリフェノール類はSIRT1を活性化することが知られており、投与時刻により鼻粘膜の概日リズムを維持しながら予防かつ治療を行う新奇治療(時間治療)の確立を目指す。現在まで、アレルギー性鼻炎患者および対照群より採取した鼻粘膜上皮細胞(pHNEC)を培養し、時計遺伝子Period (Per) 2, Per3, SIRT1の発現量の継時的な推移をqPCR法にて測定し、ヒト鼻粘膜上皮細胞の内因性リズムの解析を施行した。pHNEC培養細胞において安定したPer2発現リズムを確認できた。手術検体 (余剰鼻粘膜組織)を用いた組織学的評価では、PER2は粘膜上皮細胞や腺上皮細胞において発現を認めた。しかしながら、手術検体採取時間による遺伝子発現の変化については、検体摘出時間が日中に集中したこともあり、有意な結果を得られなかった。令和5年度は、より生理的な環境下である気液界面(ALI: Air-liquid interface)培養下での実験を試みたが、遺伝子発現のリズムを観察できるほどの長時間の培養条件では細胞死も認め、実験結果に信憑性を得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度から令和4年度までのコロナ禍の影響や、悪性腫瘍の手術が優先され良性疾患の手術が他施設で行われる体制となったため対象疾患の手術件数が減少し、サンプル確保が予想以上に進まなかったことに加え、当初予定していたアデレード大学耳鼻咽喉科でのMicrofluidic PCRでの遺伝子発現量解析が実現困難となり、実験方法を変更せざるを得なくなり、そのため予定していたよりも多くのサンプル数が必要となったことが、遅延の大きな原因である。また、令和5年度は細胞培養方法をより生理的な気液界面(ALI: Air-liquid interface)培養に変更したが、遺伝子発現のリズムを観察できるほどの長時間の培養条件では安定せずに、結果に信憑性を得られなかった。さらに、臨床業務での新規プロジェクト、新規臨床研究との兼ね合いで本研究に費やせる時間が減少したことも遅延の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
気液界面(ALI: Air-liquid interface)培養は鼻粘膜の生理的環境を忠実に再現しており、鼻粘膜生理機能の評価に適している反面、長期間安定した培養条件を維持するのは困難であった。当初はALI培養にて時計遺伝子発現リズムを測定した上で、経時的にSIRT1 活性化剤(resveratrol)を投与し、投与後の時計遺伝子発現リズムの変化および、メディエーター量から薬物への反応性を評価する予定であったが、今後は、ALI培養にて時計遺伝子発現量のトラフ・ピーク時刻を測定し、その2点でresveratrolを投与し、投与後の時計遺伝子発現量、炎症性メディエーター量の変化の有無を検討し、その差からresveratrol至適投与時刻を推察する方針へと変更する。
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