研究課題
若手研究
加齢黄斑変性(AMD)は成人の失明原因として重要な疾患で、滲出型AMDに対して抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療が行われている。長期の抗VEGF治療にて、萎縮型AMDに至る報告があり、萎縮型AMDの増加が危惧されている。私達はケモカイン受容体CCR3阻害剤により、生理的なVEGFに影響を及ぼさず眼内の病的血管新生を抑制できることを見出してきた。近年、抗CCR3治療が萎縮型AMDの細胞実験にて細胞死を抑制した報告があり、本研究では、萎縮型AMDの動物モデルにおいて、抗CCR3治療効果を検討する。本研究は、有効な治療方法が存在しない萎縮型AMDの治療方法を確立し、世界の失明予防に貢献すると考える。
萎縮型黄斑変性の革新的な治療方法を目的として研究を継続中である。光傷害モデルをBALB/c, C57BL/6Jマウスを対象に、抗CCR3抗体もしくはコントロールの硝子体内注射を、光傷害を行う前日に施行し、アクリジンオレンジ蛍光眼底造影の観察をおこなった。C57BL6マウスではコントロール、抗CCR3抗体注射群のどちらにおいてもアクリジンオレンジの集積はみられなかったが、Balb/cマウスにおいて抗CCR3抗体注射群におけるアクリジンオレンジ集積の抑制がみられた。昨年の検討目標として、アクリジンオレンジ集積が病態として何を示していることがより重要となると考えられる結果ではあるが、抗CCR3抗体により眼内の光傷害による血管障害を軽減できる可能性が示される結果が得られた。
4: 遅れている
optos 200Txの造影撮影機能が故障し、アクリジンオレンジ造影画像を得るのに大幅な遅延が起きた。
抗CCR3抗体により、光傷害が軽減されたが、適正な抗体濃度、注射回数などを模索する必要がある。アクリジンオレンジにて確認される、光傷害による血管障害が網膜血管障害を主体とするものであれば、網膜は網膜色素上皮よりも眼球の内側(光線暴露が必ず起こる側)にあるため、網膜色素上皮の色素の有無に関係なくにアクリジンオレンジの集積が確認されるはずであるが、C57BL6では集積が確認できない。このことからアクリジンオレンジの集積は脈絡膜血管障害を反映している可能性が高く、メラニン色素を多く含んだC57BL6では色素上皮が脈絡膜に対して保護的に働くかもしくは、ブロッキングにより本当は生じている脈絡膜血管障害を確認できないことが推察される。昨年同様、光傷害の病態の首座を解明するために、自発蛍光や、免疫染色、共焦点顕微鏡による観察などが必要と考えている。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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