研究課題/領域番号 |
20K18383
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小林 正明 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70845015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | nAMD / BPU / 網膜下線維症 / CNV / RPE細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
網脈絡膜における線維化は、不可逆な視力障害を引き起こす一方で、未だ治療方法が確立されていない病態である。本邦においては、加齢黄斑変性の有病率が増加しており、nAMDがそのうちの9割以上を占める。nAMDは瘢痕期に網膜下線維症を生じることで社会的失明をもたらす難治性疾患であるが、現行治療の第一選択であるVEGF薬は姑息的な治療法であり、治療抵抗例もみられることから、新たな治療法の開発が強く望まれる。本研究では、RPE細胞を基点とした網膜下線維性増殖の病態解明を行い、新規に開発したBPU17がもつ線維性増殖に対する作用、およびその分子標的を明らかにする。
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研究成果の概要 |
滲出型加齢黄斑変性(nAMD)における網膜下線維症および脈絡膜血管新生(CNV)に対して、ベンゾイルフェニルウレア(BPU17)が有する効果を検討した。 C57BL/6Jマウスに網膜光凝固を施行して網膜下線維化を誘導した動物モデルにおいて、BPU17の硝子体注射は網膜下線維症を抑制した。同様に、C57BL/6Jマウスに網膜光凝固を施行してCNVを誘導した動物モデルにおいても、BPU17はCNV増生を抑制した。いずれのモデルにおいてもBPU17は濃度依存的に抑制傾向を示したことから、BPU17がnAMD病変を抑制する可能性が示唆された。 今後はBPU17の有効濃度を同定し再現性を検討する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
滲出型加齢黄斑変性(nAMD)に対する治療方法の第一選択は抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬であるが、nAMD晩期の網膜下線維症には治療効果を持たない。抗VEGF薬が有効な症例であっても、治療効果を維持するために反復して長期に投与することで、網膜萎縮等の障害を生じる。BPU17はnAMDに対して抗VEGF薬とは異なる薬理機序で作用すると考えられる。本研究の結果から、BPU17がnAMDによる脈絡膜新生血管および網膜下線維症に抑制的に作用する可能性が示され、新規のnAMD治療標的として期待された。今後はBPU17の分子機序を解明することで、nAMDの病態解明に寄与する可能性が期待される。
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