研究課題/領域番号 |
20K18414
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩尾 敦彦 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90816638)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 末梢神経 / 羊膜 / PGAコラーゲンチューブ / 神経再生誘導チューブ / 末梢神経再生 / Amniotic Membraneラッピング / 凍結羊膜 / 人工神経 / マイクログラフト |
研究開始時の研究の概要 |
人工神経は、自家神経を採取するという犠牲を伴わずに末梢神経欠損を治療できる画期的な治療法である。しかしながら自家神経移植の完全な代替療法とはなり得ていない。本研究の目的は、多能性幹細胞を有し再生医療のソースとして有用な羊膜組織を人工神経に導入することでその機能を高め、神経再生能を促進させることである。人工神経内部に組織を導入するにあたって、今回我々は組織片を50μm以下に細断し移植するマイクログラフトに着目した。人工神経、マイクログラフト、羊膜はいずれも国内ですでに臨床利用されているため、本研究により神経再生促進効果が実証されれば、即座に神経欠損部の治療として臨床応用が可能である。
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研究成果の概要 |
ラット坐骨神経8mm欠損モデルを用いて、新鮮ヒト羊膜(HAM)ラッピングがPGA-cの末梢神経再生能力を向上させるか検討した。ラットを(1)PGA-c単独群、(2)PGA-c/HAM群、(3)Sham群の3群、各群5匹に分けて比較した。観察期間は12週間とした。PGA-c/HAM群はPGA-c単独群と比較して、筋電図における潜時と複合筋活動電位、再生神経の電子顕微鏡による評価における有髄線維の周径とg-ratio、前脛骨筋横断面積において統計学的に優位な改善を認めた。新鮮HAMラッピングとPGA-cを組み合わせた手法は、PGA-cを単独で用いるよりも有効である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
末梢神経再生の足場となる第2世代の人工神経に、様々な細胞や成長因子を付加した第3世代の人工神経の開発が現在進められている。我々は市販されているPGAコラーゲンチューブに、間葉系幹細胞や成長因子が豊富に含まれる新鮮ヒト羊膜を外側から巻き付けることで末梢神経再生が促進されることを、ラット坐骨神経欠損モデルで確認した。羊膜はすでに、眼科領域では再発性翼状片や瘢痕性角結膜炎の治療に、形成外科領域では難治性潰瘍の治療に用いられている。我々が考案した手法はすでに臨床で使用されているものを組み合わせたことに大きな特徴があり、実臨床における神経欠損の新たな治療法となりうる可能性がある。
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