研究課題/領域番号 |
20K18415
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上野 一樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30817028)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | TRPV1 / TRPイオンチャネル / 創傷治癒 / リンパ浮腫 / 好中球 / NETs / TRPV1 / 炎症応答 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
難治性リンパ浮腫に対する有効な治療法の確立には、リンパ浮腫の病態を解明することが必要条件となる。近年、組織の侵害刺激受容に関わるイオンチャンネル型受容体の機能を有するTransient receptor potential (TRP)チャネルが注目され、外来侵襲による生体反応でのTRP分子の役割の解明について研究が展開されているが、これらのイオンチャネルとリンパ浮腫モデルを用いた研究はなされていない。本研究では、創傷治癒へのTRPイオンチャネル群の関与の視点から、リンパ浮腫患者群にみられる四肢の浮腫や皮膚硬化の分子機構を解明し、難治性リンパ浮腫に対する新規治療法の開発に注力する。
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研究実績の概要 |
TRPV1は、皮膚に発現が認められており、痛みや化学物質のセンサーとしてだけでなく、炎症誘導と抗炎症作用の双方に影響を有すると推察されている。リンパ浮腫のメカニズムとして慢性炎症が着目されており、予備実験として、TRPV1と皮膚創傷治癒過程における炎症の関連性について検討した。 実験には、Trpv1遺伝子欠損(KO)マウスと野生型(WT)マウスを用いた。それぞれの背部皮膚に直径5.0mmの円形の全層皮膚欠損創を作製した。皮膚欠損創作成後(POD: post-operative days; 0、2、4、7、10、14)、肉眼的観察、組織学的解析から治癒過程を評価した。 POD7と10の時点では、KOマウスは皮膚欠損の範囲が広域であった。POD7におけるKOマウスの再上皮化は、WTマウスに比べ遅延していることがHE染色で観察された。炎症期に動員され一般的に漸減するとされる好中球数は、WTマウスにおいてはPOD4からPOD7にかけて減少を認めたものの、Trpv1 KOマウスでは減少が観察されなかった。マクロファージ数は明らかな差を認めなかった。H3Citで標識されたNETs(Neutrophil Extracellular Traps)形成は、POD4およびPOD7の両方で、WTマウスと比較してTrpv1 KOマウスで増加した。以上の結果より、TRPV1チャネルは、好中球性の炎症反応を制御する、マウス皮膚創傷治癒に重要なTRPチャネルである可能性が示唆された。 また、治療効果などの判定を可能とする優れた慢性リンパ浮腫モデルが求められていることから、慢性的な浮腫形成モデルを樹立し,術部に対する可視的な解析を経時的に可能とする実験系を開発することとした。マウスの尾に対して皮膚欠損を作成し、欠損部に透明なシリコンシートを挿入することで、慢性的な浮腫形成を再現する事が初めて可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
革新的な慢性リンパ浮腫モデルを作成することで、慢性リンパ浮腫部の可視的な解析を経時的に行うことに成功した。また、TRPV1と皮膚創傷治癒過程についての予備実験を行ったことで、TRPV1が皮膚の炎症制御に関わっている可能性が示唆された。今後、リンパ浮腫におけるTRPV1チャネルの役割を精査するにあたり、十分な準備が整ったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
TRPV1 KOマウスの尾部で慢性リンパ浮腫モデルを作成し、正常マウスと比較することで、リンパ浮腫におけるTRPV1の役割を明らかとする。また、TRPA1,TRPM2 KOマウスにおいても、TRPV1と同様に皮膚創傷治癒過程の精査を行った後、尾部慢性リンパ浮腫モデルの作成を行い、正常マウスと比較する。 また、皮膚創傷部と浮腫部において、先行研究で変動が認められた因子を中心に、そのmRNAとタンパク質の発現動態をそれぞれreal-time RT-PCRとウエスタンブロット法で測定する。また、タンパク質については、創傷部と浮腫部における発現分布を免疫組織化学的に調べる。
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