研究課題/領域番号 |
20K18449
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
西村 礼司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60529733)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 手機能 / モーションキャプチャ / 無線ジャイロ / 定量化 / 評価法 / 主観的評価 / 客観的評価 / 手外科 / 運動解析 / 手機能評価 / 先天異常 |
研究開始時の研究の概要 |
先天異常手や重度外傷手では、個々の症例に合わせた治療を選択する必要がある。しかし、従来の手機能検査で得られる情報は治療法選択の根拠として不十分であり、実際はエキスパートオピニオンに依存している。特定の課題を達成するために手の使い方が健常手と同一である必要はない。このため、データ解析では従来のように健常手を基準にした角度、圧力、時間の計測ではなく、特定の動作を遂行するために必要な要素を抽出することが望ましい。本研究の目的は、従来の手機能検査にビデオ、モーションキャプチャ、圧力センサ等を組み合わせることで客観的データを増やし、エビデンスに基づいた新たな手外科治療戦略を構築することである。
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研究実績の概要 |
手の機能を構成する要素のうち、最も基本的かつ評価が容易と思われた運動の定量化を試みた。はじめに試用した光学式モーションキャプチャでは非常に高い精度で計測することができた。しかし、この方法は非常にコストがかかる。加えて、電化製品は通常、徐々に小型化と低価格化が進むことが多いものの、光学式モーションキャプチャはCOVIDによるサプライチェーンの分断もあり、むしろ更に値上がりしてしまった。このため、短中期的には光学式の臨床応用は難しいと判断した。このため、臨床応用が可能なコストと精度のバランスを基準に計測法を選定し直し、無線式ジャイロセンサを用いることとした。無線式ジャイロセンサは、個々のセンサが独立しているため計測対象の構造に縛られないという大きなメリットがある。実際に計測を開始したところ、同一平面内での運動は実用レベルの精度で計測することができた。一方で、回旋など3次元運動が加わると無視できない計測誤差が生じた。 平行して、COVIDの影響によりカダバーを使わせて頂ける機会が偶然生まれたため、手の機能を解剖の観点から評価するために解剖研究を行なった。ホルマリン固定されたご遺体を用いて、手指関節軟骨の評価と手の腱のアノマリーを評価した。元来の研究対象である手の動きを定量化し解釈する際に、基礎構造として手の解剖が重要になる。モーションキャプチャで得られる知見と、解剖研究で得られた関節面の状態や腱のアノマリーに関する知見は、いずれ交わると考えている。具体的には、手の多数の関節に生じている変形性関節症は、間接的に手にかかる物理的な負荷の分布を表していると考えられる。このため、手の使い方によって分布が変わることが過去の研究でも指摘されている。母指の腱のアノマリーは、母指の運動に直接関与している。アノマリーの多い腱に担われる運動は、機能評価においてもばらつきが大きくなると推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
① COVID-19の影響で、ヒトを対象にした実験の進捗が遅れています。 ② 用いている計測機器で予期しなかったプログラム上の問題が総じて進捗が遅れています。
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今後の研究の推進方策 |
3次元運動時の大きな誤差は、ジャイロセンサの避けられない特性というよりも、プログラムレベルで改善が可能な問題と考えている。このため、プログラムの修正に取り組んでいる。ジャイロセンサを用いて3次元運動を計測できることを担保した上で、作業能力評価に用いる既存の器具を用いて、実際の動作中に動きの定量化を行う。更に、このデータから特徴量を抽出することが本研究の当面のゴールと考えている。
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