研究課題/領域番号 |
20K18465
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
畔津 佑季 昭和大学, 歯学部, 助教 (00812190)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | グルココルチコイド / 骨代謝 / メダカ / in vivoイメージング / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / グルココルチコイド受容体 / ミネラルコルチコイド受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
グルココルチコイド(GC)の合成製剤は炎症・自己免疫疾患の治療薬として有用である反面、副作用で骨代謝に悪影響を及ぼす。また歯の発生や恒常性維持への関与も示唆されたため、その機序解明は重要課題であるが、骨や歯の恒常性維持とGCとの関連性には不明な点が多い。申請者は遺伝子改変メダカを用いた骨研究の経験を活かしてGCシグナルを遮断するメダカモデルを作製し、骨の生体イメージング解析や遺伝子発現解析から、骨と歯の恒常性維持におけるGCの機能を解明する。また得られた知見をメダカ、マウス、培養細胞の3つの実験系で検証し、比較することで、骨や歯に対するGCの生理学的意義の一端を解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、硬組織の恒常性維持に対する生理的役割が不透明なグルココルチコイド(GC)の機能を明らかにすることである。申請者は前年度、GC受容体(GR)欠損メダカ(GR1/GR2遺伝子欠損メダカ)を作製して、主要なGCシグナルの欠如が生体内の骨芽細胞や破骨細胞の動態に及ぼす影響を解析した。本年度は、このメダカに対するGC製剤投与実験と、得られた結果を元に作製した新たな遺伝子欠損メダカの解析、および骨芽細胞に対するGC製剤の作用を明確にするためのマウス由来骨芽細胞培養実験を行った。 ①GR1/GR2遺伝子欠損メダカに対する薬剤投与実験とGR1/GR2/新規因子遺伝子欠損メダカの解析 尾ヒレを骨折させたGR1/GR2遺伝子欠損メダカにGC製剤を投与すると野生型メダカと同様に骨折箇所に集まる破骨細胞と骨芽細胞が減少した。従ってGC製剤はGR1とGR2だけでなく新規因子も介して両細胞を減少させることが示唆されたため、予想される因子に関連する作動薬をこのメダカに投与したところ、GC製剤と同様に骨折箇所の両細胞が減少した。以上からこの新規因子もGCを介して骨折修復時の両細胞の量を調整する機能を有していることが示唆された。また申請者はGR1/GR2/新規因子の遺伝子を同時に欠損したメダカを作製した。このメダカは骨折修復時に集まる破骨細胞と骨芽細胞がGR1/GR2遺伝子欠損メダカより増加し、骨折箇所の骨吸収速度も増加した。現在、このメダカの骨形成速度の検証と両細胞の遺伝子発現解析を進めている。 ②骨芽細胞の分化段階に対するGC製剤の作用解析 生体内の骨には様々な分化段階の骨芽細胞が存在しているが、各分化段階に対するGC製剤の作用は不明である。申請者らは分化段階が異なるマウス由来の培養骨芽細胞にGC製剤を添加したところ異なる応答を示すことを見出した。現在その詳細を解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GR1/GR2遺伝子欠損メダカへのGC製剤投与実験と新規因子の遺伝子欠損メダカの解析から、GRだけでなく新規因子も、骨折修復に必要な破骨細胞と骨芽細胞の量を制御しているという新たな知見を得た。現在、新規因子の遺伝子欠損メダカの詳細な解析を行っている。またマウスの細胞培養技術も習得したため、新規因子の作用メカニズムについて細胞レベルでの詳細な解析を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
骨の関連細胞が蛍光タンパク質で標識された遺伝子改変メダカを使用し、GC製剤と関連性を示した新規因子が生体内の骨代謝および細胞動態に及ぼす影響を解析する。またマウス由来細胞の培養実験から骨芽細胞や破骨細胞に対する新規因子の作用を検証することで、硬組織の恒常性維持に対するGCと新規因子との関係性について考察する。
|