研究課題/領域番号 |
20K18476
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 庸輝 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (60711786)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 三叉神経ニューロパチー / HMGB1 / ミクログリア / 慢性疼痛 / マクロファージ / 中和抗体 / 神経障害性疼痛 / アラーミン |
研究開始時の研究の概要 |
三叉神経ニューロパチーは、親知らずの抜歯時などに三叉神経末梢枝を傷害することにより生じ、既存薬に抵抗性を示す難治性の感覚異常である。このことから、治療薬の開発は喫緊の課題であるが、慢性・難治化には複雑な病態が関与するため、創薬研究は困難を極めている。一方で、本病態は術前の検査等により、その発症リスクの予測が比較的容易であり、そのリスクが高い患者に術前より介入することが可能である。本研究課題は、本病態の発症機構を解析し、それを応用した予防薬の確立を目的とする。治療困難な感覚異常が未然に予防可能であることを基礎研究から証明し、「三叉神経ニューロパチー予防法」 の確立・発展に寄与するものである。
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研究成果の概要 |
外傷性三叉神経ニューロパチー (PTTN) は智歯の抜歯、顔面領域の手術などで三叉神経を損傷した際に頻発する難治性疼痛の一種である。 High mobility group box-1 (HMGB1) は、損傷細胞から漏出し、各種受容体の活性化を介して、炎症を増悪させる。そこで、本研究課題は、病態モデルマウスを用いて、HMGB1 の PTTN への関与を検討した。その結果、HMGB1中和抗体やRAGE阻害薬の前処置が PTTN モデルマウスにおける疼痛様症状の発症を抑制した。以上の結果から、HMGB1はRAGEの活性化を介して本病態の発症に重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
三叉神経ニューロパチーは智歯の抜歯、顔面領域の手術などで三叉神経を損傷した際に頻発する難治性疼痛の一種である。本研究課題は、神経損傷時に high mobility group box-1 (HMGB1) が漏出・遊離し、最終糖化産物受容体 (RAGE) の活性化を介して、本病態を発症させることを明らかとした。本病態の発症確率は、その術式の難易度に依存しており、これは術前の検査によって推測することが可能である。以上より、難易度の高い術式が必要な患者に対して、 HMGB1 機能を阻害する薬物や RAGE 阻害薬を前処置することで、三叉神経ニューロパチーの発症を予防できる可能性を示した。
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