研究課題/領域番号 |
20K18493
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
八岡 和歌子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20865208)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | メタボローム解析 / 味覚障害 / 頭頚部癌 / 放射線治療 / 口腔支持療法 / がん / 頭頸部癌 / メタボローム |
研究開始時の研究の概要 |
がん治療中の口腔合併症として、味覚障害は発症頻度が高く、患者のQOLを長期に損なう要因となっているが、その病態の理解や治療法は確立されていない。亜鉛の欠乏によるgustinの減少が一因といわれているが、頭頚部癌放射線治療による味覚障害との関連は不明である。メタボローム解析は、代謝産物を 一斉分析が可能な技術である。本研究の目的は、味覚障害を有する患者の唾液を検体としたメタボローム解析行うことにより、gustinの代謝パスウェイの変化を解析し、放射線治療に伴う味覚障害と亜鉛欠乏との関連、他に病態を反映する特異物質が存在するかを明らかにし、診断、投薬の有効性の予測等、臨床応用に繋げることである。
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研究実績の概要 |
第39回日本臨床栄養代謝学会)にて中間報告:口演「頭頚部がん放射線治療中の味覚障害の実態調査」を行った。頭頸部がん放射線治療中の味覚障害は、60Gy以上の総線量で84.9%と高頻度に発症し、味覚消失という重症例が半数以上であった。60Gy以上の線量で、90%以上の味覚障害が発症するという報告(Mossman KL 1986)と概ね一致していた。 照射野に含まれる舌の容量ならびに線量との関係が先行研究で示されているため、今後、より詳細な線量分布の解析を行う。シスプラチン単独投与で77%が味覚の変化を認めたとの報告(Rhodes VA 1994)されているが、本結果においてもシスプラチン併用と味覚障害との関連が示唆された。 本結果からは、年齢・性別による味覚障害発症率に有意差は認めなかった。女性は男性より味覚閾値が低い(Mojet 2001)、60歳以上で閾値上昇は考慮を要する(中里 1995)との報告がある。今回、少数例の報告ではあるが、放射線治療に伴う味覚障害の病態においては、年齢・性別以上に関連する因子がある可能性が示唆された。 口腔乾燥や口腔内汚染と、味覚障害との関連が報告されているが、本研究では有意差を認めなかった。感染リスク・有害事象軽減のために、口腔内の保湿や清潔保持は重要であるが、口腔環境以外にも、味覚障害に関する要因が示唆された。 一般的に言われている味覚障害の要因に加え、がん自体関連、がん治療関連など、多様な病態の考慮が必要であると考えた。(嗅覚、精神的、亜鉛欠乏、口腔カンジダ症、栄養不良など)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例のエントリーならびに臨床データの解析、ならびにメタボローム解析は全て終了した。 学会発表(第39回日本臨床栄養代謝学会)にて中間報告「頭頚部がん放射線治療中の味覚障害の実態調査」を行い、現在論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
中間報告の結果を元に、現在論文作成中である。 今年度、国際学会誌へのアクセプトを目指し進めていく。
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