研究課題/領域番号 |
20K18507
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大嶋 淳 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30755450)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 歯学 / 微生物学 / 口腔細菌学 / インターフェロン / 免疫学 |
研究開始時の研究の概要 |
インターフェロンシグナルは宿主細胞にとって、細胞内に侵入してきた病原体を排除するのにきわめて重要な感染防御機構である。歯周病の原因細菌であるPorphyromonas gingivalisは、細胞内に侵入するにも関わらずインターフェロンシグナルに関連する遺伝子群の発現を有意に抑制し、それによって宿主の免疫系を回避し歯周疾患の病態を進行・遷延化させている可能性が示唆された。そこで本研究では、根尖性および辺縁性歯周炎に対する新規の創薬・治療戦略の創成を念頭に、歯周病原性細菌がインターフェロンシグナルを抑制させる機序について多角的な検討を行う。
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研究成果の概要 |
主要な歯周病原性細菌であるP. gingivalisがインターフェロンシグナルを制御する機構について検討を行った。P. gingivalis感染マクロファージの網羅的遺伝子発現を解析した結果、本菌は多くのインターフェロン誘導性遺伝子の発現を抑制し、マクロファージの活性化を阻害していた。同様の現象は他の歯周病原性細菌では認められず、P. gingivalis感染時に特異的であることが示唆された。また、トランスウェルを用いた解析とパラホルムアルデヒドによる変性処理を行った細菌の感染実験から、本菌によるインターフェロンシグナルの負の制御には菌体膜上タンパク質が重要であることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
P. gingivalisによるインターフェロンシグナルの抑制は、自身の細胞内での生存の促進につながるだけでなく、他の病原性細菌の排除にも抑制的に働いている可能性がある。したがってその作用機序の解明は、P. gingivalis がもつ歯周病における「キーストーン病原体」としての病原性発現機序の新たな側面を明らかにする、先駆的な研究につながる可能性がある。また、マクロファージは歯周組織だけでなく、アテローム性動脈硬化など全身性慢性炎症疾患の病変部でもP. gingivalisと相互作用することが示唆されており、歯周疾患にとどまらず多様な慢性炎症の病態解明につながる潜在性を有している。
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