研究課題/領域番号 |
20K18533
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上村 怜央 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10823560)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 象牙質 / 根面う蝕 / 再石灰化 / コラーゲン / 光増感剤 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、高齢者の歯の根の虫歯が急激に増加していることが問題となっている。申請者らはこれまでに、眼の病気の治療法の一つとして最近用いられ始めた、体内に含まれるビタミンの一種であるリボフラビンという物質と、身体に害の少ない領域の紫外線を組み合わせるという手法を歯に応用することで、歯の中のコラーゲンの網目構造を密に増やして、歯が溶けることを防ぐという事実を発見した。本研究では、既に虫歯になっている歯にこの手法を応用することに加えて、虫歯予防としてすでに成果のあるフッ素を複合的に作用させることにより、虫歯のさらなる進行を抑制し、かつ再石灰化を目指すという、新しい虫歯予防・治療法の開発を目的としている。
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研究成果の概要 |
臨床現場で遭遇する根面う蝕を想定し、ヒト大臼歯の歯根象牙質を切り出し、脱灰溶液に浸漬し、初期根面う蝕モデルを作成した。試料にUVA活性リボフラビン架橋法を行う際に、リボフラビン溶液に各種フッ化物溶液を混ぜて処理を行った後、再石灰化液に浸漬させ、う蝕の再石灰化を促した。 その結果、走査型電子顕微鏡像では、脱灰面に石灰化物の析出が観察され、元素分析を行った結果、リン酸カルシウムを主成分とする物質の沈着を確認することができた。また、ミネラル密度分析において、非処理群と比べて再石灰化は促されたものの、材料間において明らかな違いはなく、最適な材料および濃度はさらなる検討が必要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の超高齢社会において、高齢者が保有する歯数の増加に伴い、歯の根元の虫歯(根面う蝕)が急増している。この根面う蝕は広範囲に広がりやすく、歯茎に埋もれる位置に拡大しやすいため、う蝕を除去したのちに形態を修復する操作が困難になりやすい。 そのため、これまでに行われてきた「削って詰める」という従来のう蝕治療方法から、「削らない」う蝕治療方法へ移行していくことが、さらなる保有歯数の増加への新たなきっかけとなり、既に進行したう蝕の再石灰化に重点を置く非切削の治療は極めて重要である。処理溶液に浸した後に光を当てることで歯の再石灰化を促す本手法を用いることは、画期的であると考えられる。
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