研究課題/領域番号 |
20K18539
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
祐田 明香 九州大学, 大学病院, 助教 (20814081)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | PDGFRβ / オリゴデンドロサイト / 歯髄幹細胞 / 脳血管障害 / 細胞移植療法 |
研究開始時の研究の概要 |
PDGFは主に間葉系幹細胞に対し遊走・増殖刺激活性を有するタンパク質であり、その受容体はPDGFRαおよびPDGFRβの2種類が知られている。ヒト歯髄幹細胞において、PDGFRαおよびオリゴデンドロサイトの分化マーカーの遺伝子発現が認められることが報告されている。 以上のことから、歯髄幹細胞はオリゴデンドロサイトへの分化の可能性を有しており、さらに、PDGFRβが分化促進に関与する可能性があるのではないかと仮説を立て様々な検討を行う。本研究から得られる結果により、PDGFRβをターゲットとした歯髄幹細胞の移植は、新たな脳梗塞の細胞移植療法のひとつとして応用できる可能性があると考えられる。
|
研究実績の概要 |
脳血管障害は主要な死因の一つであり、機能障害を来す最大の原因疾患である。近年、新たな脳梗塞の治療法として、細胞移植治療に注目が集まっている。細胞移植に用いる細胞としてiPS細胞等が知られているが、細胞を移植後、有害事象を呈することなく機能的に働く細胞移植治療の確立が待望されている。PDGFは主に間葉系幹細胞に対し遊走・増殖刺激活性を有するタンパク質であり、その受容体はPDGFRαおよびPDGFRβの2種類が知られている。ヒト歯髄幹細胞において、PDGFRαおよびオリゴデンドロサイトの分化マーカーの遺伝子発現が認められることが報告されている。本研究では、歯髄幹細胞のオリゴデンドロサイト分化に関わる可能性があるPDGFRβに着目し、PDGFRβヘテロノックアウトマウスの歯髄組織でのオリゴデンドロサイト分化マーカーの発現解析、マウス歯髄幹細胞のオ リゴデンドロサイトへの分化、シグナリング経路の解析を行い、歯髄幹細胞の神経再生におけるPDGFRβの影響に関して検討する予定である。 当初は、PDGFRβ+/+およびPDGFRβ+/-マウスから歯髄幹細胞を樹立、また、ヒト歯髄幹細胞を樹立し使用予定であった。しかし、動物種をそろえ、安定した実験を進めるため、マウス歯乳頭細胞から樹立された歯原性間葉細胞株(mDP細胞)を使用することとし、他機関の協力も得て細胞を使用している。 現在、mDP細胞にて、神経誘導の方法(培養培地、培養環境等)を選択し、実験を進めているが、研究の進捗状況はやや遅れている。しかしながら、本研究から得られる結果により、PDGFRβをターゲットとした歯髄幹細胞の移植は、新たな脳梗塞の細胞移植療法のひとつとして応用できる可能性があると考えられるため、今後も研究計画に沿った実験を進めていく予定としている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、PDGFRβ+/+およびPDGFRβ+/-マウスから歯髄幹細胞の樹立使用予定であった。しかし、安定した実験を進めるため、マウス歯乳頭細胞から樹立された歯原性間葉細胞株(mDP細胞)を使用し行う、神経誘導の方法(培養培地、培養環境等)、また、適切な実験条件を決定することに期間を要したため、研究の進捗状況はやや遅れている。さらに、感染症の流行により、研究時間が制限されたことも遅れた理由の一つである。
|
今後の研究の推進方策 |
PDGFRβが、マウス歯髄幹細胞のオリゴデンドロサイトへの分化へ及ぼす影響、さらに関連するシグナリング経路の解析を行い、歯髄幹細胞のオリゴデンドロサイト、神経細胞分化におけるPDGFRβの影響に関して検討する。さらに脳梗塞モデルマウスに歯髄幹細胞の移植実験を行い、評価を行う予定としている。細胞は、mDP細胞の使用、またPDGFRβ+/+およびPDGFRβ+/-マウスからの歯髄幹細胞樹立も継続して行う予定である。
|