トモシンセシスX線撮影法を用いた硬組織病変に対する臨床診断の確立

• 研究課題/領域番号: 20K18547
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分57030:保存治療系歯学関連
• 研究機関: 神奈川歯科大学
• 研究代表者: 杉原 俊太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40738944)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円); 2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円); 2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
• キーワード: 歯科疾患診断 / トモシンセシス法 / 歯科保存学 / パノラマX線撮影 / 臨床診断 / 歯周炎

研究開始時の研究の概要

近年，歯科領域におけるデジタルテクノロジーの進歩は目覚ましく，画像診断での発展は目を見張るものがある。トモシンセシス法とは1回の撮影で数十枚の連続断層画像が得られる画像技術で，この多数の画像を再構成し任意の位置で良質な画像を作成できることから一般の撮影検査では描出困難な病変などを明瞭に観察できる。歯科における画像診断でよく用いられるパノラマＸ線写真では，頸椎などによる障害陰影が発生することで歯槽骨，歯牙の状態がわかりにくい場合がある。そこで，本研究ではトモシンセシス法を用いた画像工学的解析手法に着目し，歯周病，う蝕，根尖病巣などの歯科診断における同手法の有用性を明らかにすることである。

研究成果の概要

本研究の目的は，歯科用頭部ファントムに対しパノラマX線撮影およびトモシンセシス法補正を行い，主観ならびに客観評価により画質を評価し，歯科臨床における同手法の有用性を検討することであった．
我々は，前方に大きく変位して撮影した場合はトモシンセシス法補正により前歯部・臼歯部ともに診断レベルが改善することを明らかにした．
本研究は，パノラマX線を変位撮影し，歯および歯周組織の主要特徴における診断レベルに対し，トモシンセシス法がもたらす影響，有用性を検討した最初の報告である．

研究成果の学術的意義や社会的意義

近年，ウイルスによる感染症が世界的な社会問題となっている．飛沫感染の感染防止対策は歯科医療関係者において重要な問題である．トモシンセシス法ではパノラマX線装置を用い口腔内に検出器を入れることなく撮影可能であるため，画像診断における感染防止対策の一助を担うことができると考えられる．
また，我が国は超高齢社会を迎え，車いす利用者など姿勢を保つことが難しい患者がさらに増え，従来の撮影法では診断が困難な場合が予想される.本研究で得られた結果は，ある程度の位置ズレならばトモシンセシス法を用いて画像補正を行う事で，診断レベルを担保できる可能性が示唆された．

研究成果

• [雑誌論文] 歯周基本治療手技の動画教材を用いた教授法がもたらす教育効果 (2023)
  • 著者名/発表者名: 杉原 俊太郎、両角 俊哉、渕田 慎也、清水 統太、井上 允、琢磨 遼、門田 大地、櫻井 孝、小牧 基浩
  • 雑誌名: 日本歯科保存学雑誌 巻: 66 号: 1 ページ: 26-34
  • DOI: 10.11471/shikahozon.66.26
  • ISSN: 0387-2343, 2188-0808
  • 年月日: 2023-02-28
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Association between Non-Alcoholic Steatohepatitis-Related Hepatocellular Carcinoma and Periodontopathic Bacteria: A Cross-Sectional Pilot Study (2023)
  • 著者名/発表者名: Ryo Takuma, Toshiya Morozumi, Yuko Yamamoto, Takashi Kobayashi, Takaaki Matsui, Masato Yoneda, Takaomi Kessoku, Asako Nogami, Muneaki Tamura, Yohei Kamata, Shuntaro Sugihara, Yoshiaki Nomura, Masahiro To, Masato Minabe, Kenji Mitsudo, Atsushi Nakajima, Motohiro Komaki
  • 雑誌名: Applied Sciences 巻: 13
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Effect of Locally Delivered Minocycline on the Profile of Subgingival Bacterial Genera in Patients with Periodontitis: A Prospective Pilot Study. (2022)
  • 著者名/発表者名: Toshiya Morozumi, Yohei Nakayama, Satoshi Shirakawa, Kentaro Imamura, Kaname Nohno, Takatoshi Nagano, Haruna Miyazawa, Takahiro Hokari, Ryo Takuma, Shuntaro Sugihara, Kazuhiro Gomi, Atsushi Saito, Yorimasa Ogata, Motohiro Komaki
  • 雑誌名: Biomolecules 巻: 12
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 循環器疾患患者におけるプロービング時の出血の有無と全身的因子の関連の検討 (2021)
  • 著者名/発表者名: 青山 典生、呉 圭哲、藤井 利哉、喜田 さゆり、髙瀬 雅大、杉原 俊太郎、門田 大地、三辺 正人
  • 雑誌名: 日本歯科保存学雑誌 巻: 64 号: 2 ページ: 163-170
  • DOI: 10.11471/shikahozon.64.163
  • NAID: 130008032148
  • ISSN: 0387-2343, 2188-0808
  • 査読あり
• [雑誌論文] トモシンセシス法を用いたパノラマX線画像における歯周組織所見の主観的および物理学的画質評価 (2020)
  • 著者名/発表者名: 杉原 俊太郎、両角俊哉、香西 雄介、印南 永、泉 雅浩、田村 利之、櫻井 孝、三邉 正人
  • 雑誌名: 日本歯科保存学雑誌 巻: 63 号: 5 ページ: 396-404
  • DOI: 10.11471/shikahozon.63.396
  • NAID: 130007933331
  • ISSN: 0387-2343, 2188-0808
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 上顎右側犬歯の埋伏と歯牙腫による下顎左側小臼歯の萌出障害を伴うAngle class I叢生症例 (2020)
  • 著者名/発表者名: 杉之内有希, 杉原俊太郎, 三宅真次郎, 畠中玲奈, 木本茂成, 三辺正人, 山口徹太郎
  • 雑誌名: 神奈川歯学 巻: 55 ページ: 113-120
  • NAID: 120007000028
  • 査読あり
• [学会発表] 広汎型侵襲性歯周炎患者(ステージIII、グレードC)に対して歯周組織再生療法を行った1症例 (2022)
  • 著者名/発表者名: 杉原 俊太郎, 小牧 基浩
  • 学会等名: 特定非営利活動法人日本歯周病学会
• [学会発表] トモシンセシス法を用いたパノラマX線画像における歯周組織所見の主観的および物理学的画質評価 (2021)
  • 著者名/発表者名: 杉原 俊太郎, 両角 俊哉, 三邉 正人
  • 学会等名: 特定非営利活動法人日本歯科保存学会学術大会 154回
• [学会発表] 歯周病と糖尿病のスクリーニング検査による医科歯科連携の有用性の検討 (2021)
  • 著者名/発表者名: 平田 貴久, 両角 俊哉, 杉原 俊太郎, 門田 大地, 青木 一孝, 三辺 正人
  • 学会等名: 日本糖尿病学会
• [学会発表] 歯槽基底より唇側に逸脱した上顎犬歯露出根面に対し2ステージの歯周形成外科手術により根面被覆を行った1症例 (2020)
  • 著者名/発表者名: 杉原 俊太郎, 田村 利之, 三邉 正人
  • 学会等名: 日本歯周病学会