研究課題/領域番号 |
20K18552
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井川 貴博 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (20780290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | インプラント周囲炎 / 細胞増殖因子 / 成長因子 / 抗菌作用 / キトサン / 再生治療 |
研究開始時の研究の概要 |
近年インプラント周囲組織の破壊(インプラント周囲炎)が問題になっているが、再生治療の確立には未だに不明点が多い。一方で、ストロンチウム(Sr)をインプラントチタン(Ti)表面に付与した際の、Srの抗菌作用に関して調査した研究はこれまでにない。本研究課題では、歯周組織再生増殖因子を用いたインプラント周囲炎再生治療への効果、およびSrの抗菌効果を明らかにする。
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研究実績の概要 |
歯を失った部位への補綴治療として、インプラント治療は成功率、生存率、患者の満足度の高い治療である。一方で、細菌感染によって引き起こされるインプラント周囲炎はインプラントの成功率を下げる最も大きな要因であり、現在では効果的な治療法が存在しないためインプラントの予後に大きく影響を及ぼす。つまり、①インプラント周囲炎に対する効果的な治療方法、②インプラント周囲炎を予防するインプラントシステム、は今後のインプラント治療において重要な課題である。 インプラント周囲炎を予防するインプラント表面性状の開発も進められてきた。特にインプラント周囲炎の主な原因は細菌感染であるため、抗菌作用のある材料が必要と考えられている。そこで申請者はカルシウムに類似したストロンチウム(Sr)に着目した。これまでSrは骨芽細胞分化を促進・活性化する一方で破骨細胞分化を抑制し骨形成促進作用するとの報告がされているが、抗菌作用に関しては未だに不明である。現在、インプラント表面にSrを安定した状態で定着させる方法について検討を行っているが、放射線同位元素であるため安全性等について検討している。 次に、現在キトサンブラシが注目されている。キトサンには抗菌作用があるため、インプラント周囲炎の治療に対して効果がある可能性が示唆されている。キトサンブラシを使用したインプラント周囲炎に対する効果について、細胞レベル・動物実験レベルと並行して、臨床応用に向けて実験計画を予定していたが、臨床での使用が可能となったため臨床研究について申請を予定している。また再生治療の骨補填材として吸収性コラーゲン材料が臨床でも応用され始めているが、組織学的な効果についての報告は少ないため、織学的な評価に関しての臨床研究の申請を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
国外の研究者と共同で研究を進める予定であり、その実験計画を立案している段階である。代替として、キトサンブラシを使用したインプラント周囲の炎症に対する予防と治療効果について検討を行い、短期の結果で粘膜炎を改善傾向を示しており、その作用や適応について現在検討している。
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今後の研究の推進方策 |
Ti表面をSrでコーティングしたTi-Srプレートを用いて行う。対照群はTiプレートのみとする。プレート表面の経時的なバイオフィルム増殖率の違いを調べる。上記と同様に、Ti-SrプレートとTiプレートを用いる。細胞混濁液に浸漬させ細胞培養を行い、細胞増殖数の変化・細胞分化マーカーの発現を調べる。培養細胞上清中の分化マーカーとして、Osteonectin、Osteopontin、Osteocalcin、Type1 Collagen、ALP活性をELISA法にて測定する。また使用する細胞としては、株化細胞としてMC3TC-E1細胞、初代培養細胞としてイヌ骨膜由来細胞を用いる。 また、キトサンブラシの臨床試験にむけて申請を行い、臨床パラメーターについてのデータ解析を行う。
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