研究課題/領域番号 |
20K18570
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2022-2023) 金沢大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
伊藤 達郎 北海道大学, 歯学研究院, 招へい教員 (70750933)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | スラリー埋没加熱処理法 / ジルコニア / ハイドロキシアパタイト / スラリー埋没加熱処理 / リン酸カルシウム析出能 / 表面解析 / 生体安定性 / 金属アレルギー / オッセオインテグレーション |
研究開始時の研究の概要 |
近年、チタンに対する金属アレルギー様症状や過敏症が報告されており、インプラントとして長期間口腔内や骨内に留置されることで細胞感作や金属アレルギー発症のリスクが高まることは避けられなくなっている。そこで、インプラント材料としての高い機械的特性、生体内での安定性および審美性を有するジルコニアが注目されている。そこで、本研究では、スラリー埋没加熱処理法をジルコニアの表面処理に応用することでジルコニアの骨組織適合性を向上し,早期のオッセオインテグレーションを確立することで、インプラント治療をより安全で高い審美的要求にも応えうる持続可能性の高い治療法にすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
イットリア安定型ジルコニアをφ0.9mm×8mm Lに加工し、熱処理のみ施したジルコニアおよび、スラリー埋没加熱処理を施したジルコニアを実験材料として用いた(加熱条件は熱処理、スラリー処理ともに加熱温度950℃、加熱時間2時間)。10週齢雄性Wistar系ラットの左側大腿骨の長軸方向と垂直方向に直径0.9mmのインプラント窩を2本形成し、スラリー埋没加熱処理したジルコニアもしくは熱処理のみのジルコニアを2本埋入した。埋入2および8週後に、埋入した試料を周囲組織とともに摘出、脱灰標本を作製し、H.E染色およびTRAP染色を施し、病理組織学的に検索を行った。 2週後において、両試料ともに、ジルコニア周囲組織に血球成分を多く認め、埋入時の侵襲による炎症反応が認められた。また、ジルコニア周囲は線維性組織で覆われ、一部に幼弱な軟骨様組織の形成を認めた。一方、スラリー処理したジルコニア周囲においては、熱処理のみのジルコニアに比べてより多くの軟骨様組織と骨様組織の形成を認めた。 8週後においては、両試料ともに埋入窩周囲に成熟した新生骨の形成を認めた。新生骨はジルコニアと直接接していたが、一部線維組織に覆われ、直接接していない部分を認めた。 2週後においては、予想した通りスラリー処理を施したジルコニア周囲において、熱処理のみのジルコニアに比較して、より多くの新生骨形成が認められた。一方、8週後においては両試料ともに成熟した新生骨の形成を認めたが、新生骨とジルコニアが直接接していない部分が生じていた。骨形成量、骨接触率ともに両試料に差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は新型コロナの影響により動物実験室の使用が制限されていたために、研究の進捗に遅れが生じた。また、同年に北海道大学から金沢大学に異動したが、新型コロナの影響により金沢大学における動物実験に関する講習会の開催が制限されていたため、さらなる遅れを生じた。 その後も、新型コロナの流行により臨床業務(病院外来業務)のエフォートが増加したものの、教育のエフォートに増減がなかったため、その分研究のエフォートが減少したことによりさらに研究の遅延が生じている。 令和5年度は予定通りに実験を遂行できたが、これまでの遅延を解消できていないため、進捗は遅れたままとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験:スラリー処理ジルコニアおよび熱処理ジルコニアワイヤーをラットの左側大腿骨に埋入し、2週後および8週後に周囲組織とともに試料を摘出する。摘出した試料にVillanueva bone染色を施し、非脱灰標本を作製し、組織計量学的検索を行う。 細胞培養実験:スラリー処理ジルコニアおよび熱処理ジルコニアディスク上にヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC-BM)を播種、培養し、評価項目は次の通り行う。 (1)細胞接着能の評価:1日および3日間培養後、WST-1にて評価する。(2)細胞分化能の評価:1週および2週間試料上で培養後、骨関連タンパクとしてアルカリフォスファターゼ活性をLabAssay ALPにて計測する。さらに、骨関連遺伝子としてCbfa1およびオステオポンチン(OP)、オステオカルシン(OC)をRT-PCRにて計測する。
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