研究課題/領域番号 |
20K18669
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大植 香菜 広島大学, 病院(歯), 助教 (60760329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肥満 / 歯周病 / ミクログリア / 認知機能障害 / 認知症 / 神経炎症 / 認知機能 / 慢性炎症 / 認知機能低下 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病は、末梢組織の局所の炎症性疾患であるにもかかわらず、アルツハイマー型認知症の危険因子でもある。歯周病による認知機能障害では、脳内免疫細胞であるミクログリアの炎症応答が関与すると考えられる。また、肥満病態では、脂肪から分泌させるアディポカインの産生調節が破綻し、全身の慢性炎症を引き起こすとともに、脳ではミクログリアの炎症応答が亢進する。このことから、肥満と歯周病という2つの炎症性病態は相互に作用して、神経障害を増悪させ認知機能を障害する可能性がある。 本研究では、肥満病態下での歯周病感染が認知機能障害に及ぼす影響を検証しその増悪メカニズムの解明を行う。
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研究実績の概要 |
認知症は世界で最も罹患者数の多い神経疾患である.認知機能障害の発症メカニズムには脳内炎症の関与が指摘されているものの,有効な予防法や治療法は未だ確立されていない.このようななか,近年,肥満病態での歯周感染が,糖尿病や非アルコール性脂肪肝炎を増悪するなど,末梢組織での炎症応答を増幅させるという報告がなされている.本研究では,認知症リスクファクターとしての肥満病態と歯周感染の相互作用の神経科学的基盤を示し,末梢-中枢連関のメカニズムとミクログリアの意義を明らかにすることで,歯科的視点からの認知機能障害の予防や治療法の開発に資する新たな知見を示すことを目的とする. これまでの研究において,肥満‐歯周病モデルマウスを作成し,新奇物体認知試験で肥満―歯周病マウスが他の群と比較して有意に短期記憶能力の低下を認め,認知機能が低下していることがわかった.また,マウスミクログリア細胞株のMG6を用いて,レプチン前処置によるPg-LPS刺激の炎症性サイトカイン遺伝子発現を評価し,レプチンがPg-LPSによるミクログリアの炎症反応を上昇させることが分かった. 続いて,肥満‐歯周病モデルマウスの脳切片を用いて,海馬の免疫組織化学染色を行い,海馬でのミクログリアの細胞数の変化や形態学的な変化を確認した.高脂肪食群のマウス海馬ではミクログリア細胞数は通常食群と比較して有意に増加していた.また,高脂肪食・Pg(-)群と比較して,高脂肪食・Pg(+)群のミクログリア細胞体面積の有意な増大を認めた.さらに,肥満―歯周病モデルマウスの海馬組織サンプルを用いて,リアルタイムPCRにより解析したところ,高脂肪食・Pg(+)群のマウス海馬における炎症性サイトカインの遺伝子発現の有意な増加を認めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成果報告のための国際英文誌への論文投稿を行い、アクセプトを得ているが、まだ出版手続き等が進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
国際英文誌へ出版手続きを進める。
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