研究課題
若手研究
本研究は、癌増殖局所の微小環境における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の実態、癌の発育先進部の簇出、口腔癌における上皮-間葉移行(EMT)の発現、分子生物学的解析を行うことで、臨床病理学的因子との相互関係を解明し治療への応用を目的とする基礎的研究である。このような口腔癌の微小環境を解明することにより口腔癌の多彩な組織形態をもたらす分子基盤を明らかにし予後因子を同定することを可能にすると考えられる。
本研究は、口腔扁平上皮癌(OSCC)増殖局所の微小環境における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の実態、発育先進部の簇出、上皮-間葉移行(EMT)の発現、分子生物学的解析を行うことで、臨床病理学的因子との相互関係を解明し治療への応用を目的とする基礎的研究である。これまでの主な研究の成果として、口腔扁平上皮癌において腫瘍浸潤先端部(IF)のHLA class Ⅰの発現レベルは実臨床で使用できる有用な予後予測因子となり得ることを明らかにした。(Cancer Sci. 2020)またその他にもIFの実質におけるFoxP3陽性T細胞の発現が有用な予後因子であることが示され、また、OSCCにおいてはFoxP3陽性T細胞は制御性T細胞としての機能を有していない可能性があり、CTLA-4陽性細胞がFoxP3陽性T細胞の機能を抑制していることを明らかにした。(PLoS ONE. 2020)本年度も引き続きTILの発現に着目し、IFと腫瘍中心部(TCe)の間質に存在するCD45Ro+T細胞が、癌免疫監視機構において重要な役割を担っており、予後予測因子として有用である可能性を示した。(Anticancer Res. 2021)上記のように予後因子を明らかにすることで、今後確度の高い術後フォローアップ体制を確立することが可能になるものと考えている。また免疫逃避機構の解明だけではなく、化学療法に癌ペプチドワクチンや免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた複合免疫療法の開発に応用できると考えている。2022年2月より海外留学のため研究を中断することとなったため、帰国後に本研究を完遂させる予定である。
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