研究課題/領域番号 |
20K18704
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
岡本 準也 札幌医科大学, 医学部, 診療医 (10749592)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 口腔がん特異抗原 / がん免疫療法 / 口腔がん細胞株 / CTL / 口腔がん / 新規口腔がん特異抗原 / がん免疫 / 癌幹細胞特異抗原 / がんペプチドワクチン療法 / 免疫チェックポイント阻害療法 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔がんは近年の治療技術の進歩により治療成績は全体として向上しつつある。しかし、進行口腔がんでは外科療法、化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療を行っても治療成績は不良であり、しかも拡大手術後の形態と機能の障害が問題となっているのが現状である。その中で、腫瘍免疫学は急速に発展し、これまでに数多くのヒト腫瘍特異抗原が報告されている。また、ヒト固形腫瘍の根幹をなす、がん幹細胞の分離成功によってがん幹細胞特異抗原も明らかになってきている。これらを踏まえて基礎研究成果を創薬につなげるため、口腔がんにおける新規がん抗原の同定とがん免疫療法の基礎的研究を行う。
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研究実績の概要 |
新規口腔がん細胞株作製のために、口腔がん生検の際の組織の一部を当該症例患者さんの承諾を得て採取し、無菌シャーレ内でごく小さな組織片に細断してPBMC培養液を用いて培養する。線維芽細胞の増殖が止まってから継代を繰り返しがん細胞のみの増殖を認める状態にすることを目的としている。また、同症例の患者さんのPBMC(リンパ球)を採取し、凍結保存する。がん細胞株を樹立した後に、PBMCと共培養することでリンパ球(CTL)が働き抗がん作用を認める。その際にCTLが認識している口腔がん特異的ながん抗原を同定することが最終目標であるが、当研究において未だがん抗原の同定には至っていない。 同研究と類似した方法で現在研究を行っている施設が見当たらず、過去に発表された論文や同施設内で同様の研究を行っていた研究者との交流によってさらなる革新的ながん抗原同定方法を模索中である。 学会参加については、口腔外科学会に参加し臨床的に最新の治療方法や基礎研究について聴講し、知識を高めている。論文作成については、当研究において一定の研究成果を出せていないため執筆は行っていない。 当研究を進めていく環境については整っており、現在はこれまでの研究方法について見直しを行い、さらに精度を高めて培養を行えるように検討している最中である。現在もいくつかのがん細胞を培養中であり、今後共培養を行いリンパ球による癌免疫について確認を行なっていく予定である。さらに、同研究を当講座において共同で研究していく人数を増やして継続して研究を行っていけるよう継承を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
問題点の一つは、シャーレ内で培養した口腔がん組織は口腔内から採取していることから、口腔常在菌を含めて培養をしなければならないことである。そのため、培養シャーレ内で細菌の増殖が起こってしまうと当該研究の支障となってしまいそのがん細胞の培養はそれ以上行えない。さらに、シャーレ内で増殖をするがん細胞は、増殖能力が高いがん細胞であるが、低悪性度のがんは増殖能力が低いことが多くシャーレ内で思ったように増殖せず、細胞によってはそのまま死滅してしまうこともある。しかし、増殖能力の高いがん細胞(高悪性)は患者さんのがん治療も外科的切除を行う前に集学的治療として化学療法や放射線療法を組み合わせて治療を行う必要がある場合が多く、その場合には患者さんから採取するリンパ球も減少していたり免疫能力が低下していることがほとんどであるため、がん細胞株樹立とPBMCの培養がどちらも成功する確率が低いのが現状である。今後、さらに症例数を増やし共培養を行なっていく必要があるが、現状では共培養を行えた症例はない。
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今後の研究の推進方策 |
口腔がん細胞株とCTLのペアを樹立して、口腔がんにおける特異的がん抗原の同定を目指しているが、がん患者さんの治療方針や培養中の感染などにより、このままでは同方法におけるがん抗原の同定は困難と考える。今後はがん抗原同定を別のアプローチ方法を模索することも並行して行なっていきつつ、これまで行なってきた方法をさらにブラッシュアップして数多く培養を行なっていきたいと考えている。
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