研究課題/領域番号 |
20K18713
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
越智 文子 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤医師 (40846903)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 化学療法 / 口腔粘膜炎 / 口腔細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
悪性腫瘍の治療のひとつである化学療法は副作用として口腔粘膜炎を発症する頻度が高く、臨床上問題となる。治療前から口腔ケアを行う事で口腔粘膜炎が軽減するが、そのメカニズムは明らかでない。口腔粘膜炎の発症、増悪には局所の粘膜状態や、唾液の量や質といった要因の他に、細菌学的要因の関与が示唆されている。近年、微生物叢全体を解析するためのメタゲノム解析技術が急速に進歩し、口腔内の細菌叢を網羅的に把握できるようになった。そこで化学療法による口腔粘膜炎の発症、増悪における口腔内細菌叢の関連を明らかにする第一段階として、造血器腫瘍患者の化学療法による口腔粘膜炎の程度と、口腔内細菌叢の変化の関連を検証する。
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研究実績の概要 |
口腔細菌叢は,化学療法による重篤な局所的あるいは全身的な病状と関連している可能性がある。本研究は,造血器悪性腫瘍患者における化学療法開始後の口腔細菌叢の変化を評価し,口腔粘膜炎と関連する口腔細菌叢の特徴を特定することを目的とした。造血器悪性腫瘍(リンパ腫,白血病,骨髄腫)の患者57名から,化学療法開始前と,化学療法による口腔粘膜炎が生じる頻度が高い化学療法開始後8~20日の2時点で口腔サンプルを採取し,16S rRNAメタゲノム解析を実施した。菌叢の比較分析および線形判別分析効果量(LEfSe)分析の手法を用いて,化学療法開始前後および口腔粘膜炎を発症した人に特徴的な細菌群を見出した。化学療法開始前後の口腔細菌叢のαおよびβ多様性は有意に異なっていた(α多様性の指標,OTU指数:p < 0.001,Shannon 指数:p < 0.001,β多様性の指標,Unweighted UniFrac distance:p = 0.001,Weighted UniFrac distance:p = 0.001 )。LEfSe解析の結果,化学療法開始の前後で存在比率が大きく異なる細菌群を見出した.また,口腔粘膜炎を発症した患者群では,化学療法開始前に特徴的な細菌群を見出した。以上の結果から,造血器悪性腫瘍患者における化学療法開始に関連した口腔細菌叢を特徴づけ,化学療法開始前の口腔細菌叢の構成と口腔粘膜炎の関連を示すことができた。これらの結果をまとめ,論文発表した。本研究の結果は,造血器悪性腫瘍患者における化学療法開始前後の口腔細菌叢変化に着目した口腔管理の重要性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,口腔内サンプルの採取が予定よりも進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き口腔内サンプルの採取を継続し,サンプル数を増やす。
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