研究課題/領域番号 |
20K18745
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
吉田 和功 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (70836684)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 粘表皮癌 / CRTC1-MAML2融合遺伝子 / 唾液腺悪性腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部悪性腫瘍における唾液腺悪性腫瘍が占める割合は3~5%程度であるが、粘表皮癌(Mucoepidermoid carcinoma: MEC)はその中で最も発生頻度が高い。MECを含めた唾液腺悪性腫瘍は生物学的特性の解析が遅れており、外科的切除以外の効果的な治療法は未だ確立されていない。原因は、腫瘍細胞の増殖速度が緩徐培養細胞が作製できず、多くの研究がin vitroではなく病理学的解析が中心であったことによる。申請者は、ヒト由来のMEC組織を用いて培養細胞(HCM-MEC010)の作製に成功した。本研究ではMECの細胞生物学的特性を明らかにし、新規治療法の探索を行う。
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研究実績の概要 |
当研究室で樹立したヒト由来粘表皮癌(MEC)細胞株であるHCM-MEC010は、CRTC1-MAML2融合遺伝子陽性で30継以上の培養が行われている。われわれはHCM-MEC010を用いてMECにおける CRTC1-MAML2 融合遺伝子と下流シグナルの解析を行った。蛍光免疫染色にてEGFR、EGFRリガンドであるAREG および ADAM17 (AREG 前駆体の活性化に関与している) の局在を観察した。また、WB法にてEGFR、pEGFRおよびAREGの発現は著明であること確認した。CRTC 1-MAML2陽性のMECはEGFRシグナル経路が誘導され、AREGのautocrineが発生することでEGFRが活性し腫瘍の増殖に関与しているとの報告もあり、HCM-MEC010においてもその機構が働いている可能性がある。さらにその下流にあるAKTも活性していることから、抗EGFR抗体などの分子標的薬がMECに奏功する可能性が示唆された。 また、HCM-MEC010をRNA-Seq で網羅的発現アレイ解析を行った。KRTファミリーを中心とした上皮系遺伝子が多く発現していた。しかし、同じ上皮系遺伝子であるMUCファミリーの発現はわずかであった。通常MECは粘液産生細胞、中間細胞、類上皮細胞の 3 種からなるが、HCM-MEC 010は形態的にもepithelialであり、他のMECの細胞株と同様に本体は類上皮細胞である可能性が示唆された。
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