研究課題/領域番号 |
20K18757
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
後藤 花奈 岡山大学, 大学病院, 助教 (90846495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | Streptococcus mutans / バイオフィルム / ABCトランスポーター / 膜タンパク / シグナル伝達システム |
研究開始時の研究の概要 |
主要な齲蝕原性細菌であるS. mutans の菌体表層には多くのタンパクが存在し、それらの発現により口腔バイオフィルムが形成され病原性を発揮している。これらの表層タンパクの1つであるABCトランスポーターは、限られた栄養源の中で必要なものを取り込み、不必要なものを排出する働きを持ち、バイオフィルム形成に関与していると考えられている。本研究の目的は、S. mutans のバイオフィルム形成に関わるABCトランスポーターを特定し、機能を解明することである。これらの解析を行うことで、新たな齲蝕予防システムを確立することに繋がると考えている。
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研究成果の概要 |
Streptococcus mutans のバイオフィルム形成における細胞膜輸送に関与するABCトランスポーターの役割について検証するために、ABCトランスポーター遺伝子を抽出し、その欠失変異株を作製した。欠失変異株では、親株と比較してバイオフィルム形成量および構造が変化した。また、欠失変異株の細胞膜流動性は低下し、硫酸亜鉛七水和物存在下における増殖速度は遅延し、ABCトランスポーター遺伝子の発現は増加した。 以上のことより、ABCトランスポーターは、細胞分裂および細胞膜輸送、特に亜鉛の輸送に関与し、S. mutansのバイオフィルム形成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
S. mutans は、環境に応じて様々なタンパクを菌体表層に発現し、あらゆる環境に対応し生育し続けるため、バイオフィルムを形成し続けることが可能である。これらのタンパクの1つにABCトランスポーターがあり、限られた栄養源の中で必要なものを取り込み、不必要なものを排出する働きを持つ。本研究において、着目したABCトランスポーターはバイオフィルム形成に重要な役割を果たし、細胞分裂および細胞膜輸送にも関連し、特に亜鉛の輸送に関与することを明らかにした。今後、バイオフィルム形成におけるABCトランスポーターのより詳細な機能を追求することで、新たな齲蝕予防システムを確立することに繋がると考えている。
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