研究課題/領域番号 |
20K18782
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大西 梓 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (90846883)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 歯根吸収 / エナメルタンパク / アメロブラスチン / アメロゲニン / 矯正歯科治療 |
研究開始時の研究の概要 |
矯正歯科治療中の人為的な歯の移動によって、しばしば根尖部に歯根吸収が生じる。その発症メカニズムには不明な点が多く、根本的な予防法や治療法は存在しない。これまでに申請者らは、歯の萌出後に歯根周囲にわずかに残存する退縮エナメル芽細胞(ヘルトビッヒの上皮鞘: HERS)の機能に関する研究の中で、歯根形成に関与するとされるHERS由来の上皮細胞が歯根吸収窩に局在していることを確認した。そこで本研究では、歯根吸収の主体をなす破骨(歯)細胞と上皮細胞の相互作用、さらには上皮細胞より分泌されるエナメル蛋白のアメロブラスチン(Ambn)の吸収窩での機能について検討を行う。
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研究成果の概要 |
申請者らが行った歯根形成期のエナメルタンパクの役割に関する過去の研究で、歯根吸収窩にエナメル芽細胞由来の上皮細胞が局在していることに着目し、本研究ではエナメルタンパクが歯根吸収に抑制的に作用するという仮説のもと検討を行った。 骨髄由来細胞と骨細胞の共培養系にリコンビナントアメロゲニンタンパクを添加したところ、骨細胞からのRANKLおよびM-CSFの発現を低下させることによって、骨髄由来細胞の破骨細胞分化を抑制させることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
矯正歯科治療中に生じる歯根吸収は、長期間にわたる歯の移動や過度な機械的負荷が一因と考えられているが、その発症機序は未だ不明である。重篤化し吸収が象牙質に及ぶと自然修復は不可能で、歯は動揺し、正常な機能を維持することが困難となる。治療法としては、歯に加わる矯正力を弱めたり、治療を中断したりするといった対症療法しか存在せず、吸収を引き起こさない予防法や、吸収した歯質を再生させる治療法も存在しない。 本研究によりエナメルタンパクが歯根吸収に抑制的に作用する可能性が示唆されたことから、矯正歯科治療に伴う歯根吸収の予防および治療法の確立の一助となる。
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