研究課題/領域番号 |
20K18813
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田中 公美 (五十嵐公美) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40847612)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 在宅歯科医療 / 要介護高齢者 / 生活機能 / 口腔機能 / 摂食嚥下機能 / 転帰 / 予後 / 老年歯科学 / 在宅医療 / 歯科 / 人生の最終段階 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者人口が増加する中,在宅療養高齢者における歯科医療推進のためには,在宅特有の包括的な因子をふまえた口腔内環境を把握し、歯科治療効果を発信していく必要がある。 そこで,本研究では,地域で訪問診療を行う医師と連携し,①在宅療養患者の口腔内状態と全身病態の関連,②歯科医療介入の影響,③歯科介入とその後のイベント発症,の3点を解明することを目的とした。現状,影響,予後の検証から,歯科医療の効果と限界を明らかにする
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研究実績の概要 |
本研究は、医科訪問診療が開始された高齢者に対して包括的な口腔機能評価と必要な歯科医療介入を行うことで、生活環境と口腔機能との関連、歯科医療介入の影響、予後との関連を把握することを目的としている。本研究課題は令和2年度から5年度までの4か年計画であり、最終年度である。対象者および新規対象者は累計93名となった。令和4年度は横断研究と共に、前向き研究の解析を行った。 ①横断研究の結果を示す。93名(男性44名、女性49名、中央値年齢87.0歳)を解析した。介護度は要支援・要介護1が20.4%、要介護2,3が37.6%、要介護4,5が37.6%であった。介護度とADL、栄養状態は有意な関連を示したが、口腔内環境を示すOHATは有意な関連を示さなかった。 ②前向き研究の結果として、歯科訪問診療の継続率を示す。6か月時点で50/87名(57.5%)、1年時点で33/50名(66.0%)、1年半時点で16/33名(48.5%)、2年で9/16名(56.3%)であり、半年でそれぞれ約50%の対象者が脱落した。 ③前向き研究の結果として、6か月時点での歯科訪問診療継続可否、ならびに継続可否に関する予測因子について示す。87名を解析したところ、50名(57.5%)が継続可能、37名(42.5%)は継続不可能となった。継続不可能となった理由は、死亡20名(54.1%)、施設入所4名(10.8%)、入院3名(8.1%)であった。継続可否と各項目の関連性を検討したところ、継続不可能者では、継続可能者に比してBMIが19未満の者が有意に多かった。同時にOHATの「舌」項目において、1点以上である「変化および病的」を示す者が多い傾向にあった。 以上より、医科訪問診療が開始された在宅療養高齢者において、介護度によらず、口腔内環境が悪化している可能性が示された。また、歯科訪問診療の継続は困難な者が多く、低栄養の存在および舌の清掃性低下、舌の病的変化、舌運動機能の低下が継続可否の予測因子となりうる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により対象者は予定人数に届かなかった。しかし、過去の報告においても、環境の特殊性や医療職、患者側の障壁により、在宅における研究対象者の確保が難しいことが報告されている。本研究では、横断研究、前向き研究においても解析可能な最低限のサンプルサイズを維持できているため、おおむね順調な進捗であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのデータを解析し、成果発表に取り組む。
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